2016年7月6日水曜日

「この宣言がいいね」と市民が言ったから 7月4日は独立記念日(字余り)

アメリカで過ごす独立記念日を迎えた。7月4日に固定されているこの祝日は今年は偶然月曜日に当たった。三連休のため、"4th of July Week End”と言われていた。

思ったほど、日中にイベントやパレードがあるわけではない。正直、若干、拍子抜けした。夜になると、花火が各自治体ごとに行われるということだ。この日には家族で過ごす「アメリカ人の正月」みたいな色彩もあるらしい。


我が家は夕方から街に出て、ボストン最古の教会で行われるという「独立宣言(Declaration of Independence)の朗読会」へと向かった。この教会(Old North Church)はアメリカの独立戦争の歴史的に重要な場所で、観光スポットになっている。沢山の人が詰めかけていた。


Old North Church
朗読者は牧師や神父では無く、おそらく観光協会の人だったと思う。驚いたのは観客のリアクションだ。このコスプレの読み手が独立宣言を読み上げる中、良いフレーズがあると「Yeah!!(よっ!待ってました!キターーみたいな感じ。)」と叫ぶ。

例えば、

We hold these truths to be self-evident, that all men are created equal, that they are endowed by their Creator with certain unalienable Rights, that among these are Life, Liberty and the pursuit of Happiness.
ここで観客の皆さん、歓声と大拍手。(感心という表現は不適切かもしれないが、感心した。日本の文脈だとこれに叫ぶ人は右翼と言われるのか左翼と言われるのか。「国民の分裂が進んでいる」と言われる今のアメリカだが、この宣言だけは、トランプ支持者もヒラリー支持者も納得できるのだろう。)

そして宣言中、苦しい描写のフレーズ(例:本国イギリスが俺らに重税を押し付け・・・)に来ると「Boooo!」となる。最後は「God Bless America!」で皆で「Yeah!」となりスタンディングオベーション。



国民がこのような「文章」を持つことが良いことなのかどうか断定はしたくないが、日本にはこういうものはないのは確かだろう。

ちなみに、僕が勝手に尊敬している北川達夫先生の英語の本では「1:独立宣言」「2:リンカーンのゲティスバーグ演説」「3:キング牧師の演説」の三つは、アメリカで教養ある人と話す際に必須の知識だから必ず読んでおけ、あるいは暗記しろ、と書かれていた。

(これもこの先生から学んだことだが)アメリカの知識人の演説は、大概、過去の有名演説の一部を本歌取りみたいにして使っている(あとは、聖書とシェークスピア)ので元ネタを知ることは非常に重要だとのことだ。

事前の英語勉強で2と3は大体やったものの肝心の1はほぼ手付かずだったのがこの日は悔やまれた。何しろこれらの宣言は英語として難しいのが困る。特に独立宣言は容易ではない。

それでも、この教会での朗読会は、アメリカは、移民たちがこの文書を奉じて集まった国だということを感じるにはいい機会だった。


Boston市役所に、先日のオーランドでの乱射事件を悼む市民の張り紙


追記:ボストンの花火はなんと夜10時30分スタートなので自粛。やたらと混雑するらしい。あと、この花火にはイギリス軍に怒りの大砲を打ち込むイメージもある、と知った。 

追記2:この記事を作る際に、キャロライン・ケネディ駐日大使が、2016年7月4日に寄せて、こんな文章を出していたのに気がついた。やはり「独立宣言」はアメリカ人の基礎教養と見受けられる。

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