2017年2月27日月曜日

アメリカでアカデミー賞2017を見た感想 会場にあの巨大企業CEOが…


10年前くらいから映画を見始めて以来、アカデミー賞に注目してきた。この一年はアメリカで過ごし、授賞式も(東海岸のテレビだけど)Liveで見ることができたので、日本から見ていた時には気がつかなかったことを中心に記録をまとめた。



1:現地の人は「アカデミー賞」と言わず「オスカー(ズ)」ということが多い。
街の人に「Academy Awards」と言ってもあまり通じない。Oscars という方が通じることが多く一般的に使われている気がした。(注:調査サンプル少ないので印象論)こうなると、なんかアカデミー賞と口にするのが恥ずかしくなってくる。

2:アメリカではアカデミー賞当日までに見ようと思えばノミネートされている全作品を見られる
これ、実は公開日に日米で大きなズレがある現状では日本では不可能なことだ。日本だと、アカデミー賞の結果を「フィルター」として使って、見に行く作品を決める、という流れになる。しかし今年は、作品賞ノミネート9作品のうち7作品を事前に見た(暇なんだね、と言われれば甘んじて受けます)上で賞レースを楽しむことができた。ありがたい。多分今年だけの僥倖。

3:(これも当然ながら)中継は午前中ではない
日本だと授賞式は月曜日の午前中から昼の時間に当たる。僕も仕事中にYahoo!ニュースを気にしていたものだ。こちらだと日曜日、東海岸で夜8時から12時すぎ。西海岸で夕方5時から9時すぎ、ということになる。酒でも飲みながら見るのに丁度良い。反省会やアフターも考慮すると、(当たり前ながら)現場のある西海岸の時間帯がベストだろう。

4:現地のテレビ中継はCMも面白い
日本だとWOWOWが中継するが、こちら2017年はABC放送だった。CMもオスカー仕様になっている。各社とも、若干政治的なメッセージを込めてきたりして工夫しているのが面白い。ちなみにトップのスポンサーはサムソンでVRグラスの宣伝をしていた。Women's Marchを宣伝に取り込むなど日本の電機メーカーを超えたグローバル企業になっていることを感じた。
Googleの特別CM(映画 "LION"を題材)や世論の再統合を訴えるキャデラックのCMも良かった。

5:今年の司会者(ジミー・キンメル)良かった
今年は本番の前からトランプ大統領に対するリベラルハリウッドのプロテストが話題だった。こうなると逆に「どの程度やるか?」が難しくなってしまうところだが、今年の司会者は逃げずに、かつ、いやらしくならずに、よくやっていたと思う。日本に対する自虐的な発言は嫌いだが、日本にはこの塩梅(あんばい)で知的な綱渡りをできる司会者は存在しない。

6:映画界の中心部にAmazonの影が
ゴールデングローブ賞の時もそうだったのだが、会場にAmazon CEOのジェフ・ベゾズが来ていた。これは単なる著名人ゲストとか、金を払って来ているという訳ではなくて、同社が映画そのものの制作を手がけ、その作品がノミネートまでされているためだ。逆に、そうでないと、この栄誉ある会場には入れない。Amazonの多方面への拡大(垂直統合)はここまで来ている、ということだ。Content is King を理解し、ここを抑えに来ているのだ。Netflixとの戦いが熱い。

7:結果について一言二言
作品賞は"Moonlight"。 
全般的に大本命だった"LA LA LAND"が苦戦した、という結果になった。トランプ効果でのリベラルバネ、あるいはド本命に対するアンチ票が働いてしまったのだろう。"Moonlight"も見たし、経緯やテーマからも佳作だとは思うけれど、作品賞は本命"LA LA LAND"で良かったと思う。ただ監督は32歳と若いことだし、まだまだ上を目ざすモチベーションが残って良かった、と解釈したい。

このブログでも過去に推した”マンチェスター・バイ・ザ・シー”が、主演男優賞は固いところだったとしても、脚本賞まで取れたのは嬉しい。事前に僕は「この作品を監督・脚本したケネス・ロナーガンには何か賞あげたい。まあ、監督賞はダミアン・チャゼルだろうから脚本賞が行ければな〜」などと家で呟いていたのだが、それが実現した。

この監督は偉いが、"マンチェスター・バイ・ザ・シー"という映画は主演のケーシー・アフレック(ケンブリッジ市出身・ベン・アフレックの弟。)のキャラクター造形が大きかった(だから賞を獲った)。実際のキャリアで苦労してるせいなのか、本人がそもそもダメな人なのか判然としないが、彼の絶妙な存在感がこの映画を押しあげた。

8:最後に
と、色々あったオスカーだが、最後の最後のオペレーション大混乱が全てを吹き飛ばした感。
この作品賞発表の失敗は歴史に残るだろうし、色々記事も出てるので深くは突っ込まないが、PwCは猛省してください懲戒モノの失態(笑)を。 
東海岸の深夜にこの後味の悪い幕切れで、寝つきが悪かった。 





2017年2月25日土曜日

ボストンの認可外映画学校


その名は、ブラットルシアター

渡米直後からずっと行きたいと思っていた、ハーバード近くの老舗名門映画館だ。

Webサイトで自ら"Boston’s unofficial film school since 1953"と誇っている。もちろん実際には、学校ではないのだけれど、それくらいの意気込みでの経営だということ。

名画座」の中の「名画座」であり、近所に住んでいたことのある村上春樹もエッセイ内で言及している。熱心な映画ファンならここを目的地に旅行を企画することもあり得るくらいの場所ではないかと思う。

「近いからいつでも行けるし・・」と思ってこれまでここに映画を観にいく機会を持たずにきたが、帰国が視野に入ってきたので焦って行って来た。

見たのは、名画「カサブランカ」。

この映画館ではバレンタインデー前後に「カサブランカ」を上映するなどという「なんとも粋(イキ)じゃないか。このヤロー!」という企画をやっていた。しかも、14日の夜はチケットが売り切れだった。

こういう現象がこの地域の「文化」だと思う。季節に応じた色々なイベントをやっており、アカデミー賞の授賞式の日はスクリーンでパブリックビューイングをするらしい。

マルチスクリーンの映画館と比較して、客席数250のこの小さなシアターを維持していくのは、容易ではないだろう。しかし、文化財としてぜひ残して欲しい。

最近、ハーバードスクエア周辺の老舗店舗が閉店になるニュースが多いので勝手ながら心配だ。


2017年2月22日水曜日

MITでスタートアップビジネスのコンテスト決勝を見る


先日、MITでのスタートアップコンペティションのファイナルイベントを見てきた。

8組が登壇して賞金100Kドル(1000万強)を争う。

無料で参加できるイベントだが、日本では経験できないタイプの空間であり、ビジネス人としてありがたい勉強の機会になった。

色々な面で気づき(あるいは、体感的な再確認)があったが、中核的なものは

1:アメリカは本当に多国籍の才能を引きつけている

2:世界にスケールするビジネスが前提になっている

という二点。

例えば象徴的なのは8チーム中のトップバッターだった中国出身のMITスローンスクールのMBA2年生(女性)。

この方、10才まで中国の寒村で育ったらしいが、今や米中の間のビジネストランザクションを支援するビジネスを立ち上げ、MBA2年生でCEO、多国籍のプログラマーやアドバイザーをチームアップして取り組んでいる。後のチームを見ても純粋アメリカ人は少なめで、いろんな国から来た頭のイイ奴があっという間にチームを組み上げて新しいビジネスにチャレンジしている。チャレンジャーには医者や博士号取得者もゴロゴロ。世界市場を狙うことはあえて強調するまでも無い前提として扱われている。

上記二点のダイナミズムを日本で実現するのは厳しい・・・のだが、そもそもアメリカ(沿岸部)以外にこんな環境を持つところは世界を見回してもあまり無いので過度に悲観しなくても良いとは思う。

ただし、日本でこの環境を作るのは無理だとしても、この会場に日本の存在感はほぼないという状況は寂しい。まあ、東海岸は日本から遠いし…。

あと、1月の大統領令に対して沿岸部の大都市であれほどの反対運動が起こった理由の一つはこういうことか・・・(=こうした魅力(競争力)に逆行してしまうから)、、と肌で感じた。



以下は、備忘録。

  • ビジネスアイデア自体はシードステージであることもあり、それほど斬新・革命的という感じではないし、プレゼン自体が洗練されているわけではない。ただし、上述した二点のダイナミズムの前にはプレゼンテクニックなどは瑣末なことに思える。
  • イベントはオープンで手作り感のある運営。開始は定刻より10分遅れ。この辺のエリアでは大体こんな感じ。しかしピッチと質疑の時間管理は厳格で、終わりは時間通りだった。
  • 8チーム中5チームは医療・ヘルスケア関係のビジネス。この辺りの土地柄だろうか。大学勤務医二人組のチームもあった。
  • このイベント自体のディレクターが女性。発表する起業家も8チーム中女性が3名。日本だとベンチャー業界は男性色が強い感じなので印象的。
  • 審査員による審査の間は、MITのビジネススクール(スローン スクール オブ マネジメント)学生バンド、The Rolling Sloans(このダジャレセンスは日本と変わらん。。)の演奏が四曲。何を演るかと思えば、エミネム(Lose yourself)、ホイットニー・ヒューストン、パール・ジャムなど。アメリカでも懐メロ回帰が進んでいるのだろうか。正直、あまり上手くなかった(笑)。
  • サイバーセキュリティビジネスを扱うチームのプレゼン内で、「今からMIT学内のWEBカメラをハック(乗っ取る)してご覧に入れます」といって実演を見せてくれたのはいかにもMIT、あるいはドラマのMr.ROBOTぽくて笑った。 
バンドの皆さん

2017年2月20日月曜日

ボストンの大学色々を巡る


ボストンは本当に大学が多い。

ハーバード、MIT、タフツの近くに住んでいるだけでも「お腹いっぱい」ではあるのだが、せっかくなので滞在中になるべく訪れておきたい、ということで、まずは、グリーンライン(市電)の西の終点にあるボストンカレッジへ。

カトリック系の大学で由緒ある名門らしい。建物が見るからに瀟洒(しょうしゃ)な感じ、軽い丘の上に立派な聖堂。

ちなみにローランドベルガー会長の遠藤氏がここのBS出身。

なんとなく学費高そうで白人比率が高い感じだった。



メイン校舎内部。普通に教室がある。

雪のキャンパスも素敵。



続いて、そこからさらに車で20分強の郊外、バブソンカレッジ

MBA業界では、起業家教育、ファミリービジネス研究で有名。トヨタの豊田章男CEOや、イオンの岡田CEOがここで学んだ。

こちらは林の中に佇む品の良い小大学という感じ。やはり「苦学生」はいなさそうな雰囲気だ。ただし、意外にも?リベラルなメッセージの張り紙や告知が多かったのは印象的。

(幾つも大学を見ていると、こういうところの温度感の違いを感じることができる。お金と余裕があると、公共心も高くなる、ということだろうか。)



キャンパス名物の地球儀。

学食の垂れ幕。さすがバブソン的なメッセージ。


最後に、ボストン都心にあるバンカーヒル・コミュニティカレッジ(BHCC)。

映画「グッド・ウィル・ハンティング」でロビン・ウィリアムズが先生をやっていた大学。ここは研究というよりも、職業訓練色が強いようだ。入ってすぐに「奨学金相談課」がある。主にセレブ大学を見慣れている自分にとってはこういう世界も勉強になった。雰囲気がまるで違う。

千葉の東葛地区出身の自分には、このBHCCの「庶民感」に妙に落ち着く。

都心の駅直結で便利。

国際色は豊か。

こんな張り紙、セレブ大学にはない。勤労者のための大学、っていう感じでいいです。



格差の国、アメリカらしく、個々の大学の差も大きく、本当に色々だ。

ただし、高額学費で美しい別世界キャンパスを作りそこに学生を閉じ込めてしまう大学は、教育として良いのかどうかと感じないでもない。

2017年2月18日土曜日

一期一会のウーバードライバー


ウーバーのドライバーさんとの出会いはまさに一期一会だ。

せっかくの機会なのでなるべく会話をすることを心掛け、これまで多くのドライバーさんと話をした。

概して、マイノリティの人がこの仕事をしている人が多い。専業ドライバーの人もいれば、気が向いた時だけのパートタイムジョブの人もいる。比率は印象では3:7くらいか。

人生色々、Uber仕事をしている人も色々である。愛想の良いドライバーばかりではないが、タクシーの運転手に比べれば概して話しやすい気がする。

印象深いドライバーとしては以下の人たちが居た。

少し陽光が強くなってきた最近。本文とは関係ありません。
  • ベトナムからの移民で正業があるそうのだが、高校生の子供を大学に通わせる資金を稼ぐために土日だけバイトでUberをしていたおじさん(高騰する教育費問題を感じた)
  • 珍しく白人中年だが、クラッシック系の音楽家である、との男性。(おそらく、音楽だけでは収入が安定しないのだろう)
  • 「お前日本人だろう、日本人は真面目だから大好きなんだ。オレは親が米軍に勤めて居て子供の頃は埼玉に住んで居た。親友の名前はケンジだよ。イケブクロ最高」という陽気な黒人。
  • 地元民の白人。仕事をリタイアしたおじいさん。この人道中とにかくずっと喋りっぱなし。「俺はプロのUberドライバー。この仕事は色々な人に出会えて勉強になるんだよ。ところでお宅はなんでボストンへ来たの?。。ああ私の娘は隣の市で小学校の先生をして居て、孫は・・・」ということで勘弁してくれというくらいに話すが、Uberのドライバー評価でも上位0.1%に入る満足度の持ち主だと言う。
  • 黒人で20年前にエチオピアから移住して来た人。最初はミネソタ州に家族を頼ってきて、寒かったそうな。僕の拙い英語を励ましてくれた。「俺なんか20年も住んでてもこんなレベルだからさ〜、心配すんな」
ちなみに、混雑した時間帯でなければ、費用は30分くらい乗っても15ドル前後だ。日本でマンツーマンの英会話教室に通えば30分で4000円近く取られるのは珍しくないことを考えれば「英会話教室に通いながら車で移動が出来る」とのリフレーミングが可能になる。
ということで、残りの利用機会が何度あるか分からないが、楽しみにしたい。


ちなみに、Uberは正確なデータが色々取れてしまうので、ビックデータを使った分析の対象になりやすい。ドライバーや乗客の人種差別的な行動が露わになったりすることもあるらしく、ちょくちょくその手の記事を見かける。African Americanだと成約に時間がかかる、とかいう暗い現実が(今までもあったのだろうけど)数字で見えてしまうのだ。

その点、こういう場面(=商売的な短期トランザクション)では日本人ということは有利に働く(こいつら真面目で金あるだろう、という先方からの見方がある)。先人に感謝するばかりだ。

2017年2月15日水曜日

ボストンで「ウーバーすごい」と思った7つのポイント


もっと早いタイミングでここに書こうと思っていたが、アメリカ(ボストン)に来て驚いたのはUberの普及ぶりと便利ぶりだ。僕は日本でもUberを使用したことはあったが、なんというか "桁"が違う。

我が家には車が無いこともあり、もう50回くらい使った。

今回の記事ではウーバーすごい!と思ったところを7点にまとめてみた。



まずはユーザーとして便利な三点。

1:ほとんどいつでもすぐに呼び出せる
とにかく街中に流している車が多いので、大体の時間帯と場所においてスマホで呼べば5分以内でやってくる。夜中の2時でも朝の5時でも大丈夫だった。苦戦したのはフェンウェイパークでの試合終了後の周辺(大混雑)と皆が正月モードになってしまうサンクスギビング(閑散)の時くらいだった。あと、郊外に行けば少し待つ時間が長くなる。

2:価格が安い
基本的にタクシーよりも安い。後述するUber Poolというライドシェアサービスを使えばさらに安い。また、ボストンは地下鉄の初乗り(距離定額)が300円近くするので、それを考えても大人2人だったらUberの方が安い、という状況が珍しくない。配車サービスは「贅沢品」ではなく「安い」のだ。またアメリカは高速が安くて早いので、80km先くらいまではUberで行ってしまう。ボストンからロードアイランド州まで余裕で行けた。

3:安心
アプリを使って地図で行き先を指定するので、遠回りされたりするリスクもない。運転手のレピュテーション管理機能もあるので、大概、タクシーの運転手よりも愛想がいい。タクシーも過去4回くらい使ったが、明らかにホスピタリティはウーバーの運転手達の方が良かった。 
ただし、ウーバーの運転手の経歴チェックは過去数年分の犯罪履歴をアップロードさせた指紋で調べているくらいらしいので、それをもって安全というかどうかは判断が分かれるだろう。実際時々、ドライバーの犯罪ニュースはある。 
あと、2回ほど「乗ってないのに課金された」と言うトラブルがあったが、メールでクレームすると事情の精査も無く、即返金してくれた。

続いて、Uberの経営がすごくて恐ろしい、ところを4点。Uberの経営を研究すると色々なことが見えてくる。

4:価格が需給によりリアルタイムで変動するシステムを確立している
需要と供給のマーケットメカニズムに基づき、同じ距離でも運賃が大きく変動する。事前に表示されるので、後出しジャンケンを受けることはない。何度か使っている学校からの帰宅ルートでいうと、安い時は6ドルくらいだが、雪が降っていて需要が高い時は14ドルくらいした。こうした調整を「合理的」と言えるかどうかは、立場と時間軸により異なる深遠な問題だが、「価格による調整」を愚直に実践していてすごいと思う。(アメリカは全般的に価格メカニズムが弾力的)

5:複数顧客のライドシェア(Uber Pool)で知らない人と割り勘相乗りができる
「相乗りしてもいいよ」というボタンで配車を依頼すると、同じ方向に向かう人が途中で乗ってくる。その分、時間が余計に掛かるが割り勘で安くなる。この機能はとてもポピュラーであり、僕もこちらが二人以下の場合は大体これを使っている。スタジアムでイベントがあるときなどは、大体スタジアムに向かう人と相乗りができる。また、朝晩の通勤は人の流れる方向が決まっているので、ここでライドシェアを使うと、10ドル以下でかなりの距離を乗れる。このためこれで通勤している人が少なくないらしい。運転手さんに「ライドシェアってチョコチョコ止まるから面倒臭くない?長距離一発の方が良くない?」と尋ねたことがあるが「うちら空気を運んでも意味ないんで、稼働さえ上がればいいんですよ」と言われた。確かにそうである。 
UberPoolが経路と顧客状況を検索して最適解を導き出している待ち時間の5秒くらい「テクノロジーによる最適化すげえぇ」との感慨が最高潮に達する。

6:ドライバー側へのアプローチもすごい。
Uberはドライバーの確保にもやたらと頑張っているようだ。ドライバーと言っても大体「普通の人」と言うことなのだが。その日の売り上げは当日に入金されるらしい。一番驚いたのは、ある運転手から聞いたことだが、車が無ければリースでUberが用意して貸してくれるらしい。徹底してドライバーから収奪してるように思えなくもないが、とにかくそこまでするか、の経営だ。ドライバー募集のWebサイトを見るのは、ビジネスモデル分析として面白い。

7:独占へとひた走るシェアの高さがすごい
ちなみに、ボストンでは、Lyftというほぼ全く同じ仕組みのサービスの会社も事業を展開しているが、値段的にもUberの方が安く、シェア的にも全く相手になっていないとのことだ。僕も最初は併用しようとアプリを二つ入れていたが、Lyftは削除してしまった。

以上、今でこそ当たり前にUberを享受してしまっているが、渡米当初はこの利便性、ビジネスモデルを驚異的に感じた。

日本に帰ったらUberをこういう感じでは使えないな、、と考えると残念ではある。ただし、僕は「だから日本でも同じように、とっとと規制緩和せよ」と思っているわけではない。 土壌となる諸事情が大きく違う。また、ユーザーとしては便利だが、長期的な社会全体の厚生への影響はまた別の話だ。

さて、漫然と乗るだけではなく、なるべくドライバーさんたちと話す、というフィールド調査もしてきたので次回はそのあたりの話を書く。どんな人がドライバーをしているのか、など。

2017年2月13日月曜日

新企業への依存で成り立つ米国日常生活


アメリカ生活も10ヶ月を超え、少し客観的に振り返るフェーズに入ってきた。

ニューイングランドの住宅街の雪景色


改めて考えてみると、うちの日常生活は以下の企業を抜きには欠かせない。これらの7社への依存度はすごく高い。当たり前すぎて意識しないくらいだ。

  • Google(Google Mapは異常に便利。鉄道・バスも検索可能でUberともリンク。クラウドのドキュメントは、街のコピー機からも出力できるという便利さ)
  • Uber(車を所有しない我が家には必須のサービス。日本での想像を超えた便利さ。別途書く予定)
  • Apple(うちは、Appleの生態系に取り込まれているもので。。)
  • Amazon(Amazonは日本でもすごいと思っていたが、こちらでは次元の違う発達を遂げている。これも別途書く予定)
  • Facebook(異国にいても友人知人と繋がれる便利さ。加えて、ニュースフィード機能は米国メディアへの入り口)
  • Netflix(動画ストリーミング。10月より契約してあっという間にハマってしまった。革命的サービスだと思う)
  • Spotify(音楽ストリーミング。今まで手を出していなかったが、12月に手を出したらあっという間にハマった。これだけスウェーデン企業。)

僕が前にアメリカに来たのは大学生の頃、1997年だった。この当時、上記の企業はApple以外はほぼ存在しなかった。(Amazonは1994年創業らしい。)今、上記会社のマーケットキャップ(時価総額)の合計は幾らになるのだろうか。

もちろん、消費者の目に見えないバックエンドでもいくつもの企業が台頭している(シスコシステムズなどのハードウェアメーカーなど)事や従来型の産業も依然大きな存在感がある事は理解するものの、消費のフロントを担う企業が上記の新興産業で占められている事に愕然とする(そして、ほとんどが世界展開していることも脅威)と同時に、新企業がここまでの存在に短期間で成長できるアメリカのダイナミズムを感じる。また、ビジネス人としては上記のサービスを分析的に体験できた事は良かった。

今後、本Blogでもこれらの企業のサービスについて少し記録・紹介していきたい。

2017年2月10日金曜日

Apple in Boston


マサチューセッツの冬は「りんご」が沢山売っている。

日本よりも種類が豊富で、少し「小振り」だ。これはアメリカ人が「りんごを丸かじり」する習慣があるからではないかと思う。ちょっとしたセミナーやビジネススクールの授業でも、お菓子のコーナーにりんごが山積みされている。りんごの方が菓子よりもヘルシーだと認識されているようで、小学校などもりんごを常備しており、「お腹が空いた子はこれを食べなさい」的な感じになっている。



皆、ろくに洗うこともせずにそのままかじっているようだ。シェラトンホテルのボールルームで行われているセミナーでスーツ姿の人が大半であるような場所であっても、りんごにかじりついている人が居た。なんともアメリカらしい光景だ。

僕もりんごが好きなので最近はおやつとしてよく食べている。そこで品種が気になってくる。大概スーパーには7種類くらい置いてある中で、やはり何と言っても「Fuji」が美味しく感じる。われながら日本人だなぁと思う。Macintosh, Gala, Empire, Jazz...その他色々な種類を食べたが、少なくとも生(なま)でかじることにおいてはFujiに優るものなし、と思う。

最近では主夫らしくオーブンを使った「焼きリンゴ」も作ってみた。我ながらなかなか美味しい。これは、Fujiではなく酸味の強いGalaで作ったけれど、美味しかった。

面白いところでは、こちらでは、リンゴの芯を抜く専用の器具もある。台所を預かる者としてとても興味深く、思わず購入してしまった。

食べるだけでなく、この地域ではApple pickingという「リンゴ狩り」もメジャーな娯楽らしい。しかし、我が家は車が無いので行けていない。

ちなみに、Appleつながりで話を広げると、ハーバードやMITのラウンジを見ると、8割はAppleのラップトップを使っている。なんとなくイメージ通りではあるけれど、Apple比率はとても高い。子供の学校にもMacがゴロゴロしている。ただ、よく言われるようにスマホのiPhone比率は日本が異常値的に高いようで、こちらでのスマホを見るとAndroidも結構多い。

あと、Appleストアはボストンにも当然あるが、これが日本の銀座にある店と驚くほどそっくりで、世界のフラット化というかグローバル企業のオペレーションの均質化を感じた。

2017年2月6日月曜日

Skype英会話で世界の先生と話す


12月からSkype英会話を再開した。

今回は提供社を変えてDMM英会話というところで始めた。ここの特徴は、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、などの講師が多い(その分なのか価格が安い)ことだ。リトアニア、ジャマイカ、ジンバブエ、アルメニア、イラクなどの先生とも話した。


GO! Patriots!


先生方、英語が母語でないにも関わらず、英語が達者で(CEFRでいうC2レベルに達している)、自分にとっては十分に先生になる。英語は白人のネイティブと話さねばならない・・・というような信仰は今の自分には全く無いし、むしろ色んな国の人と話ができて面白い。

先生方は高学歴で知的な人も多いのに「小国に産まれた」ということでご苦労をされている方が多い。極めて月並みな感想だが「日本は恵まれている」と思った。

レッスンの合間の雑談としては「どうやって英語を学んだのか?」と聞いたり「トランプ現象をどう見ているか?」などを話している。

英語の学び方についてだが、東欧の人たちにとっては「留学」など贅沢中の贅沢で、自国から出ないでC2レベルの英語を身につけた先生が多い。その先生たちがどうやって英語を身につけたのか聞くと以下の三点。
  • 子供の頃からやっている。セルビアでは小学1年生から英語の授業あり。ただし、講師になるような人は学校教育以外のなんらかの機会があった人が多い。親が熱心だった、という人は多い。
  • 衛星放送のテレビや漫画の英語コンテンツを死ぬほど見た(自国語のコンテンツが豊富ではない)
  • ビデオゲームのスカイプチャットで英語で話すことで学んだ(こういう人が結構いる。「今日はボストンで大きな大会があるんだよ」とハンガリー人に言われてスポーツかと思ったらテレビゲームの大会だった)
トランプ大統領関係の話題も盛り上がる。小国の人たちからは「アメリカさんはうちの国のことなんて相手にしてませんから。日本は少なくとも話は聞いてもらえるでしょ」と時々言われることがあり、確かにそうだよな、恵まれているな、とそんな時にも思う。


世界のニュースについての話をすると「ものの見方は国による、というよりも、知的階層に依存するな」と思う。大体同じような学歴や社会的立場の人は同じようなことを、国とは関係なく考えている。多くの国で、中産階級の崩壊とポピュリズムの台頭は問題になっているようで、英会話の先生ができるような人々はそれを憂いている感じだ。


トランプ、保守派の判事を指名!って感じでしょうか。Bostonに中国紙は多い。

2017年2月3日金曜日

街角で見かけたアメリカ(ボストン)


比較的最近撮影した写真から面白いものを紹介。

  • MIT近くのよく通っている映画館のトイレにて。ジェット式ハンドタオルに対する説明掲示。この地域における「環境問題」意識の高さ、「理屈っぽさ」が伺える。

  • ボストンのノースエンド、イタリア街のお土産屋の店頭にあったTシャツ。イタリア人エスニック自虐ネタと思われる。



  • MITのキャンパスでのイベント告知。"他の宗教はどんな礼拝をしているのか体験してみよう"というイベント。イスラム、キリスト、ユダヤの三つ。この地域でもひときわプログレなMITらしいイベントだ。



  • 我が家の前の駐車場にて。アメリカの閉塞感の表れか。下段に注目。Yesが消されて、No!と追加されているのが切ない。


  • 暮れのNYのお土産屋の店頭。いかにも雑な感じの作りのTシャツ。NYは基本はアンチDT色の強い町と思うが、アメリカ中から人が集まる街なので買う人もいるでしょう。ちなみに、ボストンやケンブリッジではほぼ見かけません。一度だけ帽子かぶった人見た、一台だけステッカー貼った車見た程度(笑)です。