2017年3月30日木曜日

おわりに


いよいよ帰国するので、このブログは今回で最終回。

本Blogは、あくまで「ケンブリッジで暮らす一年」の記録用に作ったもの。ひとまずは、ここで区切りとしたい。

それにしても我ながらマメに「長い記事」を書いてきたものだ。

これだけ書いたのは、ひとえに自分が「忘れっぽい」人間であることを自覚しているからだ。

常日頃から、継続的に新しいものを取り入れて行くためにも、過去のことは記録をして順次脳内ワーキングメモリーから棚上げしていこう、と思っている。

このブログは(こちらで経験したことの全てには程遠いのだが)そのための良いアーカイブになった。東京でもまた新しい何かを追いかけて暮らして行くと思うが、それはまた別の話。

ご愛読頂いた方にはありがとうございました。

実生活でご縁のある方、リアルライフでよろしくお願いします。


2017年3月27日月曜日

未来志向



組織人事コンサルタントとして、日本とアメリカの両方の小学校を中から見ることができたのはとても幸運だった。

色々な違いを認識した。

集団主義 vs 個人主義 等々色々あるが、重要なことは結局何だったのかな・・と思った時に、この地域の学校教育の特徴の一つは「未来志向」である、ことに思い当たった。

ここ、ボストン(ケンブリッジ)は幾つかの特徴がある。「歴史的にアメリカの先頭を切ってきたという自負がある街」「テクノロジー(MIT、ハイテクベンチャー)の街」「経済的に余裕のある街」「学生が多く、年齢層が若い街」などだ。だからこその特殊状況とは思うが、ここの人たちはとても「未来志向」だ。

(注:大統領選結果から分かるようにこれはアメリカ全体での傾向ではない。もっというと、当地は世界的にも異常値なほどの未来志向だと思われる。ここか、NYかカリフォルニアか、くらいの感じだろう。)

子供に対して「夢を持て」と奨励し、それを語らせる。学校の掲示板でよく「夢」を書いている掲示を見た。自分個人の夢、社会としての夢、コミュニティとしての夢、を分けて描かせていたのも感心した。

同時に、大人も「(これまでの過去とは違う)どういう社会を作りたいのか」「自分たちがどうそれを作って行くのか」という未来志向を持つ人が多かった。一例を挙げれば、"差別のない社会"は、昔には当然なかったことだが、将来はそれを実現するんだ、と言うようなことを真面目に考えている人が多い。(この辺の人達は本当に真面目だな、と、特に小学校を見に行った時に感じることが多かった。)

更にMITなどでは「こうした変化はテクノロジーを絡めて実現していけばいいんだ!それをリードするのが自分たちの役割だ!」という気概を感じることができた。(一歩間違えば「上から目線」との批判も受けるだろう)

バンカーヒルの古戦場。ボストン人には「そもそもイギリスと戦いだしたのは俺たちだ」という何かがある。薩長のプライドみたいな感じ?


対する日本の教育に未来志向が無い、とは決めつけたくはない。日本の小学校でも将来への夢を語らせることはあるだろう。ただ、「自分が将来こうなりたい」と言う以上のものを語らせているだろうか。

そして、特に道徳教育関係の話題を聞くに「ちょっと違くないか?」と思うことが多い。「懐古」色が強く、未来を構想していない気がするのだ。

実際、先週、子供の区立小入学準備で読んだ、東京都の外郭団体が作る道徳資料に「先人や目上の人を敬う心を育てよう」とあったのには、脱力してしまった。

これが東アジア儒教文化の大事なところであるのはわかるのだけれど、これだけ物理的に年寄りの比率の多い日本で、今更子供に敢えて言うことではないと思う。一万歩譲って、そう指導するなら「若い人に元気がない」などとは言ってはいけない。個人的に日本の伝統や文化は大好きだが、それと「おじさんが気持ちいい社会」への回帰は違う。

自分は若い人には「先人や目上の人を敬いましょう。誰を敬うかは自分で考えて決めろ」と伝えたい。


自らもおじさんに差し掛かった自分が、そんなことを考えたのも、ここでの生活のお陰かもしれない。

半年通ったボストンバレエスクールの「お約束」。Show Respectは多分、to each otherだと思う。

2017年3月25日土曜日

駐在夫の英語学習物語 〜一年経って思うこと〜


駐在夫(妻)は、自分の仕事の都合で外国へ来るわけではないので、語学は自主的に勉強しない限りは、全く上達しない。一言も英語を使わないで数日を過ごすことは簡単にできてしまう。それだけに自分での工夫が必要になる。そして、英語力の高低により現地経験の質が左右されるのも事実だと思う。

自分がやってきたことで、これは正解だった or こうしておけば良かった・・・ということが幾つかあるので、誰か同じような境遇になる方の参考になれば、と振り返りを記しておきたい。(とはいえ、場所や期間などの変数により色々異なって来る点は自己責任で調整下さい)

  • 日本のテレビ放送は契約しなかった。ただし、ストイックな禁欲も疲れるので、Youtubeやラジオで日本語のニュースなどは摂取していた。それで良かったと思う。
  • 日本を出る前に、それなりに英語力の下地を作ってきたことは良かった。具体的にはドラマを英語字幕で見てあまりストレスなく楽しめるレベルまで は自力で上げておいたことが良かった。(そこまでどうやって上げるかは別問題として、そこまで上げておくと次のパラグラフで書いたことが可能になる)なお、もう一つの事実として、英検1級には渡米半年以上前に合格していたが、それでもこちらでの日常生活はかなり不便だった。英語の世界は甘くない。
  • 自由時間を活かして、海外ドラマをフレーズを書き取りながら英語字幕で見まくったことは良かった。海外の生活、日常の英語は、ドラマや映画を見るのが一番力がつく。とは言っても、英語字幕で見ても「早すぎる」「単語が分からない」実力だと効果が上がらない。このため、上述の基礎力をまず養成することが必要。そして、このドラマウォッチングをやったのが、渡米半年以上経ってからだったことは反省点。到着後早い段階でやるべきだった。(当初はなんとなく、家でドラマ見てたらダメかな、、と思っていたのだがそれは誤りだった)
ボストンの多言語バス案内。残念ながら日本語無し。内容はKnow your rights。この辺りがリベラルらしい。

  • 一日50分のSkype英会話。最後の4ヶ月、一日50分やったが効果があった気がする。実は最初の4ヶ月は一日25分だったのだが、これは効果に限界があった。1日50分、100分と、初期に固めてやることが有効だと思う。
  • 結局、ドラマもSkypeも「特に到着初期に一日の時間の量を上げる」がポイントかと思う。(自分の場合は、環境に慣れたり色々探索していてなかなかこれが出来なかった)
  • 映画や音楽は現地のものを楽しむようにする。これは子供達も乗ってきてくれて、彼らのクラスルーム会話にも役立ったようだ。「今度〇〇の映画見るよ〜」とか、やはり子供は話しているようだ。
  • TOEFLの勉強もした。これはこれで試験を「締め切り効果」として使えるので有効。ただし、かなり「試験固有」の対策(多少実践英語とは異なる)に時間を費やすことが必要となるので、それに対する覚悟が要る。
  • 学校のPTA活動は、責任重大なわけでもないし、ダメでもともとで参加してみるのはいいと思う。ネイティブの議論、会議というものをリスクフリーで経験できる良い機会。
  • あと、こちらのネイティブの自然な日常会話を学ぶなら、All Ears Englishが最上だと思う。来る前から知っていたPodcast番組ではあるが、色々聴き比べ、ボストンで1年過ごした上での、個人的な実感結論だ。(ただし、日本人がネイティブの自然な日常会話をいきなり学ぶ必要は必ずしもない、と言うのも事実なわけで。この辺りが英語学習の難しいところ。) 

駐夫英語勉強法は可処分時間の問題を除けば、実は日本に居ても出来ることが大半だ。

僕が英語を本気で再勉強しだしたのは37歳(今から4年前)からだった。帰国後、時間があれば中年からの英語独学法を、体系的にまとめて見たい。

2017年3月24日金曜日

キックボクシング&指圧 in Boston


そろそろ帰国が近づいているので、ここにもまとめ的な内容が増えている。

しかし、格好つけた総括よりも、自分くらいしか書かないようなマニアックなことこそ書いておいた方がいいかもしれない(誰かの役に立つかもしれない)、と思い今回のエントリを記す。

主夫として時間があったので割と色々なことを試したが、ここ数ヶ月、キックボクシングと指圧に少し通っていたことがある。

キックボクシングの方は、大手のチェーン店で、チェーン自体が「格闘」と言うよりは、完全に「フィットネス&ストレス発散」目的で展開しているところだった。

驚いたのは、女性客がとても多く、皆嬉々としてサンドバックに打ち込んでいたことだ。自分も練習中、何か別種の闘争本能が目覚めた。数あるフィットネスの中からあえてこれを選んでくる女性はやはり少し恐ろしい。

あと、ここのチェーンのビジネス展開(ビジネスモデル)が、ITの徹底活用とプログラムのパッケージング化、低コスト運営化をすごく工夫していたところが、コンサルタント的には目についた。一つの店舗を朝晩、二人だけで回していた。




それから指圧。

秋口に心身ともに不調(海外生活は結構疲れるのです)に陥りかけた際に、Harvard Square Shiatsuというところへ一か八か、藁をもすがる思いで行って見たら、指圧師の人が非常に上手で、救われた。

一応、クリニックを調べる際に「長い期間営業しているところ」という観点では調べたのだがそれが正解だったようだ。客のついている老舗は安心できる、のは万国共通と思われる。このRoger先生は、ボストンで日本人から指圧を学んだそうで、なんと日本には行ったことが無いという。「一回ぜひ、日本来なよ」と勧誘しておいた。施術スタイルはごく普通で日本でいうと指圧というよりも整体的な感じだった。



この先生は元々はエンジニアだったそうだが「自分は競争的な世界に向いていない、人を癒す仕事がしたい」ということで指圧師にキャリアチェンジしたそうだ。そういえば、自分が日本の杉並でお世話になっていた先生も同じようなご経歴だった。何かの縁かもしれない。ちなみに、施術料は今1時間70〜80ドル。(去年から10ドル値上がりした。インフレ経済とはそういうものなのか。)ボストンの物価はそんなもの、という物差しとして適切な情報かと思う。

ちなみに、鍼の看板もよく見かけたけど、行く機会はなかった。あと、よくわからないReiki (霊気)ヒーリングという看板も時々見かけ、日本にルーツがあるらしいので気になったが、訪ねる前に時間切れとなった。

強引にまとめると、こういう産業・選択肢が充実していることは、少なからぬアメリカ人がストレスを感じている、ということの証拠かもしれない。

2017年3月22日水曜日

駐在主夫経験による「日本から持ってきて良かった」Best 7


今住んでいるところは都会ではあるし、ネット通販も盛んなアメリカで「わざわざ日本から持ってくる」必要があるものはあまり無いのだが、それでもやはり「日本から持ってきて良かった」ものはある。

「食品のラップの類は日本製じゃないと納得できない」とか「子供用の風邪薬は日本製」「100円ショップグッズ」など諸々細かいものはあるのだが、ここは一年間生活という前提の「駐在主夫」目線で、7つに絞って順不同であげてみる。

公立小学校の廊下にある標語。なんとも自己啓発の国アメリカらしい。「仕事でもそうだよな」と日本のオッサンも思う。


炊飯に、煮込みにマルチに使える。10年来の愛用クルーゼがこちらでもガンガン活躍してくれた。日本にいたとき以上にほぼ毎日使った。それなのに全くヘタレずにドンとしているところが頼もしい。

アメリカは結構テール系の肉や骨付肉を売っているので、煮込むのに使える。玄米を炊いたりもできる。週に1度は必ず活躍してくれた。日本にいた時から愛用していたのだが、この圧力鍋はいい。ちなみに僕はアサヒ軽金属工業のファンで、オールパンも愛用中。

MacBookは持ち歩くことも多かったが、壊れずによく頑張ってくれて、無事に日本に連れて帰れそうだ。一方で、別の日本メーカー製ラップトップ(名は武士の情けで秘す)はあっという間に原因不明の故障で使えなくなった。悲しい。 
ボストン(ケンブリッジ)は街としてもアップルが似合うとは思う。(とはいえ、マイクロソフトのオフィスがあり、ここにもお世話になった)

Bluetoothのスピーカー。「音質にそれほどのこだわりはないが、でも、デバイスのスピーカーは嫌で、ラップトップやタブレットと自由に繋ぎたい」という自分のニーズに対してこれは最適だった。


日本のアマゾンアカウントを維持したまま(注)にして、日本語の本を20冊くらいは買って読んだだろうか。Kindle本はそれほど安くないのでちょっと贅沢な気もしたが本を読むのは投資と精神安定剤として必要なので、これは役立った。というか日本に帰ってもKindle癖が抜けなくなりそうな感じがある。Kindle unlimitedは期間限定で使用した。 

(注)アメリカのAmazonアカウントは別に作って使った。これは統合しない方が何かと便利だと思う。事前に気づいていて良かった。

外国生活は楽しいでしょう、と言われることが多いが、経験者の多くが言うように実はストレスが多い。風呂で同じエッセイ(特に池波正太郎と吉村昭)を何度も読むのは自分にとっては結構重要なリラックス方法なのでこれは必要だった。(ポイントは、自分なりのリラックス材料を日本から持ってくること)

アシックス スニーカー ロードジョグ
履き潰すつもりで一番ベーシックなものを持ってきた。4千円弱の同社最安値モデルで、重い靴ではあるが、とにかく頑丈だった。この 一年の7割はこの靴で済ませたのにまだ履けそうな感じがある。日本品質おそるべし。(どうやら既に商品ラインアップが変わってしまった模様)

2017年3月20日月曜日

異文化マネジメント系ビジネス書ならこの一冊


Erin Meyer "The Culture Map"  邦訳 エリン・メイヤー『異文化理解力』


以下の記事を昨年の10月末頃に下書きしていたのだが、今まで投稿していなかったので、そのまま投稿する。

ボストンのバックベイからMITを望む


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掲題の本は、異文化理解の分野では評判の良い本だったので、渡米前にすでに日本語版を読んでいた。その際にも面白い本だ、とは思ったのだが、渡米後半年経って色々経験した上で、改めて英語版で読んでみて、以前に読んだ時の何倍も内容が染み入ってきた。

1:提示されているフレームワークも良い。
2:事例も多くて読みやすい。
3:筆者のスタンスにも共感できる。

最後の点は、おそらく著者(現在は欧州のINSEAD教授)が、比較的田舎育ちのアメリカ人女性で、フランス人と結婚してヨーロッパに住んでいる、という事がその背景にあるのだろう。

僕個人は、この半年はある程度意識して徹底的に「アメリカに浸かる」ことをしてきたのだが、世界は当然「アメリカ」だけではない。そろそろ、相対化を始めても良いタイミングだ。本書で、著者が少し突き放しつつ愛情を持った感じで、世界的視野の中で相対的に「アメリカの特徴」を語る内容が、とてもこの作業に役立った。

アメリカ人が「ローコンテクストコミュニケーションで明示的な割に、批判についてはオブラートに包むところ」とか「愛想はとてもいいのだが、それは本当に心を開いているわけではないこと」などが、彼女のフレームワークを使いながら良く整理されている。これまで半年間のアメリカ人とのおつきあい、観察を改めて整理し、腑に落とすことができた。

もちろん、本書は「アメリカ」だけを書いているわけではなく、出てくる事例としては「オランダに赴任したメキシコ人マネージャーの悩み」「ポーランドの工場を管理する中国人管理職」といったとても全球的な内容を扱っている。

日本についてもかなり言及されているが、その部分の記述が日本人として違和感を感じる部分がほぼない。このため、他の国の部分も概ね正しいのだろうな、と本書全体に信頼を置くことができる。この信頼度の高さには著者のビジネススクールでの生徒とのディスカッションが豊富に反映されているのだろう。それにしても、この手の研究ではいつものことながら、日本のユニークぶりには軽くため息が出る。

異文化マネジメントの分野には古くはホフステッドの研究から、いろいろな本があるが、読んだ中では(今のパーソナルな状況のせいもあろうが)一番しっくりきた。

今住んでいるケンブリッジについていうと、学校や職場などは単純に「アメリカ」のカルチャーとは言えない。アメリカ人が半分強でその他は他の国から集まってきているというようなケースが多い。ここの人はそれを「国連状態」とか「ワールドカップ」とか言っている。そういう中でコミュニケーションする上でのヒントを本書からたくさん頂いた。

2017年3月18日土曜日

一年間聴いてきた音楽の振り返りと子供と楽しむための小ネタ


どちらかと言うと、パーソナルな記録用のエントリになってしまうが、この一年、こんな音楽を家庭のリビングで聴いていた、と言う記録。

10年くらい前から洋楽の流行にはついていけなくなっていたが、ここ半年くらいでキャッチアップできてきた。

音楽は記憶と結びつく。将来これらの曲を耳にした時、懐かしく思い出すだろう。

ちなみに以下を、一曲(日本のもの)を除き、Spotifyでプレイリスト化して家庭内で共有している。


Suger / Maroon5
渡米初期にどんな曲が流行っているのか分からず、「とりあえず」な感じで、ちょっと前に流行っていたこれをよく聴いてた。今思うと、「ボストンっぽさ」には欠ける曲ではある。

What makes you beautiful / One Direction
もはや懐メロだけどフェンウェイパークで皆が大合唱していた。娘がOne Directionにハマるきっかけとなった。


Sweet Caroline / Neil Diamond
これもフェンウェイパークでの合唱曲。メロディーも歌詞もいい曲です。映像はGleeのバージョン。


もぐらの唄/  Express 
Rソックス(当時)の田澤投手入場曲。フェンウェイパークでこれを聴いたのは衝撃だった。息子が一時期取り憑かれたようにPVを見ていた。


Fight Song / Rachel Platton  
大統領選のヒラリー候補の応援ソングだったので、2016年の8月から10月くらいによく聴いた。この頃はヒラリーが当選するものだと思ってた。



American Idiot / Green Day
結構昔の曲だが、「こういう単純なパンクソングは子供が好きだろう」と思って、 うちの小学生男子に教えたら案の定、喜んで聴いていた。Don't wanna be an American Idiot!


Try Everything / Shakira
映画"Zootpia"の主題歌。とっても啓蒙的で良い唄。自分ではShakiraは聴かないので、映画がきかっけ。


Praying for time / George Michael  
おじさん的には2016年末、ジョージ・マイケル死去にショックを受けた。再評価的に色々聴き直したら、この昔の曲が歌詞も含め心に染み入った。歌詞が2010年代を予言しているようで本当の天才だと思う。


How far I'll  Go /  Alessia Cara
ディズニーのモアナの主題歌。やはり子供はこれを好きになる。

Another day of Sun/ from LA LA  LAND
Spotifyを使い出してしまうきっかけになった曲。この映画の成功は曲のおかげ、というところがあると思う。


Can't stop the feeling / Justin Timberlake 
2016年、流行ってました。自分がこちらで色々見た上での勝手な解釈では、ジャスティン・ティンバーレイクはアメリカのキムタク。 


Bruno Mars / 24K Magic
2016年は、Bruno Marsの年だったのかも。なんとなく僕の考える正統派ミュージシャン。プリンスの後継的な位置付けを期待。 



Sorry / Justin Bieber
この曲もホントよくラジオ等々で流れていた。子供が学校の授業でこの曲で踊っているそうな。

I fell it coming / The Weekend feat. Daft Punk
これはごく最近流行っている。ダフト・パンクと若手のコラボ。自分がダフト・パンク好きなことを割り引いてもなかなか良い仕上がりの曲だ。 



最後に小ネタ。

こちらでは、ストリーミング等々で音楽を聴いていると、曲名の横に Implicit または Explicit と表示されていることがある。

最初は何だかわからなかったが、調べてみると要は歌詞の「露骨さ」のことで子供にきかせるのにちょっと不味いのはExplicitとなっている。この辺りはアメリカの方が神経質だ。

映画もR指定だけでなく色々なレーティングがあるし、予告編の最後には具体的にどういう刺激シーン(性的シーン、乱暴な言葉、残酷シーン)などがあるかが具体的に表示されている。これもこれまで気に留めなかったことがなかったのだが、確かに子供と一緒にエンターテイメントを楽しむ際には便利な仕組みだと思った。

2017年3月16日木曜日

塾で学ぶ


ボストンにはVogel塾という勉強会がある。

勘の良い方は、あの"Japan as No.1”を書いたエズラ・ボーゲル先生(ハーバード大学名誉教授)の名前、とピンとくるかもしれない。

昔、多少経営学をかじった私などからすれば、もう本当に「神様」みたいな方である。この勉強会は先生の名前を冠しているだけではなく、なんと先生自ら議論に参加してくださるものだ。(ちなみに、議論は英語ですよ…)

自分もありがたいことにこの会に約半年間、参加させていただいた。文字通り「身に余る光栄」としか言いようがない。

ご高齢の先生が今も、日本の若手研究者・ビジネスパーソンのために色々と骨を折って世話をしてくれたり、メッセージを発信してくださることに「頭が下がる」の一言。この勉強会自体が、ボストンに来ている日本人をつなぐプラットフォームでもあり、ここでは素浪人の自分にはその点でも本当にありがたかった。

ボーゲル先生は、戦後まだボロボロだった日本、経済大国へと上り詰めた日本、その後停滞気味の日本、を常に観察し分析されて来た。この半年の間、日本をどう見るか、アメリカをどう見るか、いくつかのトピックについて話をしてきた。期間中に、トランプ大統領の当選もあったことも印象深い。


自分が議論から受け止めたメッセージは「日本は内弁慶にならずに、もう一度、謙虚に外から学べ」「日本人は個々の組織・部門に閉じこもりがちだが、そのサイロを壊せ」ということだった。 

先生並びに運営の皆様に感謝。

2017年3月13日月曜日

Spotifyがヤバイ


<前提:僕の音楽プロファイル>
  • 音楽的にはCD世代。洋邦ジャンルを問わずCDを集めることに熱中した。結局800枚くらいは買った。ジャンル的には洋楽の方が中心。
  • 2000年代はiTunesを使い、CDをリッピングしてライブラリの構築に努め、3年くらい前に日本でiTunes Matchが導入されたタイミングでライブラリを全てアップロードしていた。これは海外引越しの際にも大きな安心材料だった。
  • ストリーミングサービスについては、ローンチ直後のAWAやApple Musicを試したことはあったのだが「試用」に留まっていた。あと、なぜかYoutubeで音楽を聴く、という習慣はなかった。
<Spotifyを有料契約したきっかけ>
  • 2016年の12月に見たLA LA LANDの音楽があまりにも良かったので入手したいと思ったところ、Spotifyに曲があるということを知る。
  • 最初はお試し月1ドル的なキャンペーンがあったので加入。

アンダーアーマー、勢いあります(本文とは無関係)


<Spotify契約後>
  • あっさりハマる。
  • 洋楽中心に新しい曲も含めて聴きたい曲がほとんど全てある。
  • 操作が簡単。スマホでもPCでもシームレスに使える。
  • 気分別のプレイリストなども便利。朝っぽい音楽、勉強用の音楽、寝る前はヒーリング、などボタン一つで選べる。
  • 有名人の作ったプレイリストなども楽しめる。自分で作って共有もできる。
  • 映画を見て帰ってきたらすぐにサントラが聞ける。
  • 少し試したことのあるAmazon Musicなどよりも使い勝手がいい。
ということで、「俺の20年を費やした800枚のCD収集はなんだったのか・・・さらに、苦労してiTunesMatchに昇華したことももはや意味がなかったように感じる・・・」というショックを受けているところだ。

ただし、以下の2点はSpotifyでは満たされない

1:日本の曲のカバー率が低いので例えば山下達郎やらサザンやらは聞けない。ここはこれまで作ってきた自分のライブラリが生きる

2:やっぱり「ラジオ」にある独特の風情(地域間、風土感)がない。雪が降っていたらそれを話題にして雪の曲をかける、といったようなことがSportifyには(少なくとも今の所)できない。

逆に上記2点以外は「Spotifyでいいや」という気分になっている。

Spotifyを使い出して2ヶ月くらいのタイミングで読んだのが音楽ライターの柴氏が書いた『ヒットの崩壊』という本。著者が同年齢ということもあってか、この本は大変刺激的だった。デジタル化と音楽ビジネスのここ20年の変化をまとめたこの本は、他業界にも適用可能な知見に満ちている。(日本のガラパゴス状態を数字で理解することもできる。)


「音楽で起こったことは他の分野でも全て起こる」(ケヴィン・ケリー) 

2017年3月10日金曜日

トランプ現象の「現地現物」は?


渡米してきた一年前は「オバマのアメリカ」だったのが、すっかり「トランプのアメリカ」という感じになってしまった。

幸か不幸か実際にはここボストンで具体的に何かが変わったということは感じないので、あくまで「イメージ」の問題ではあるのだが「イメージ」は大きい。

日本のテレビを見ていないので想像に過ぎないのだが、おそらく「トランプ大統領」を「変なおじさん」扱いして面白おかしく扱っているのだろうと推測する。

「それが面白いことは否定しないが、それだけでもまずい」と個人的には思う。また、トランプ本人を理解することよりも「なぜトランプが当選したのか」ということを現実に基づいて理解することが重要かと思う。多分仕事柄そんな風に思うのだろう。

その点で、大変勉強になった情報源を二つ紹介したい。

バンパーのステッカーに注目。おそらく所有者は白人さんでしょう。ちなみにその上の青いステッカーも笑える内容。

一つは朝日新聞の現地記者の方が足で稼いだ情報をまとめた岩波新書『ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く』。ミドルクラス、特に製造業の崩壊が如何に庶民を追い詰めているかがとてもリアル。党派色やあるべき論にとらわれず、ミクロな現実がしっかり記載されている。最後に進むにつれ、日本の将来を考えさせられる。日本企業で重要な判断をするような人には読んでもらうといいのではないかと思った。

もう一つは、シリコンバレーの若手起業家、サム・アルトマン氏のブログ記事:『シリコンバレー在住のリベラルな僕がトランプ大統領支持者100人と話して理解した「アメリカのリアル』。この人はもともと真面目な人なのだが、わざわざこういう活動(仕事と関係ないのに、トランプ支持者100人と直接話す)を自分でやってみる、という若者の構想力とスケール感に「カリフォルニアのアントレプレナーの本当の上澄みはレベルが違うなぁ(注)」と思った。ちなみに、Facebookのザッカーバーグ氏も選挙以降、アメリカの全地域を直接回って現業の人々との対話をしているようだ。

余談ながら、本当は、リベラル側がこういうことをやらないとダメなのだと思う。"あいつら頭おかしい"と説教したり、"なんでも反対社会党”路線を続けたら分断が深まるばかりだ。

帰国も近くなってきて、上記などを読みながら、日本のことを考えることが増えてきた。


(注)日本のビジネス界にはそもそも「三現主義」・「現場100回」といった良い言葉がある。こういう姿勢がフェイクニュースの時代にますます重要かもしれない。 

うちの前の道路に先日唐突にあった旗。言いたいことはなんとなく分かる。それにしても「文脈依存型」の訴えだ。

2017年3月7日火曜日

Netflixを試すなら…独断で選ぶ今の世界基準ドラマ3選



"Netflixのコンテンツそんなに面白いのか?"という質問をいただいたので、もう少しばかり。

ここのコンテンツが新鮮だったのは「有料直契約のため広告主に媚びる必要がない」「大衆が見る地上波ではない」ために結構エログロ描写が鮮烈であることだ。もちろん、単なるコケ脅しのような低レベルな描写は少なく、ストーリー上の必然性のある形で示されている。「映画や"日本のテレビ"では描けないね」という大人向けの内容を描くことができるので、そこが面白い。(そして、それに魅力を感じて一流の製作者が移動してきている)

具体的に何か見てみようかな、という人にはまず「ストレンジャー・シングス 未知の世界」をお勧めしたい。

2016年のNetflix独自コンテンツで全8話だが、アラフォー世代を中心に大人気となり、2017年11月のシーズン2公開が待たれている。人気の原因は、グーニーズ、ET、スタンドバイミー、X-fileを足して4で割ってちょっとオシャレにしたような、万国共通おじさんホイホイ、コテコテの80年代回顧調。そこを露骨に狙ってくるか、というビジネス的な戦略にも感心できる。描写があまりエグくない点も、ビギナー向けかと思う。一応ホラーではあるが、怖いうちに入らないレベル。(これ8話見て、1ヶ月1000円程度で解約しても十分ペイすると思う)

https://www.youtube.com/watch?v=_QVUSdg4-2U

続いて、僕が最初にNetflixで見た作品でもある「ナルコス」。

コロンビアの麻薬王パブロ・エスコバルを描いた実録物で、これは内容が「エグい」。超大人向け。80年代のコロンビアが怖すぎでトラウマになるレベル。しかし、作品のクオリティは映画レベルの高さ。パブロ・エスコバルはアメリカでは誰もが知ってる有名人(犯罪者)でもあり、そういう意味での「常識」を知ることもできる。なお、ドラマの半分はスペイン語シーンで、この辺にはヒスパニックへの拡大を狙うビジネス戦略が透けて見える。これを見たラテンアメリカの人は怒り出さないのだろうか、とは思うが。すでにシーズン2まである。このあとシーズン3と4を作るらしい。

https://www.youtube.com/watch?v=S5sdYE7a3KU


3作目はエグくない方に戻る。「ザ・クラウン」。

これはイギリスのエリザベス2世が戴冠する前後を描いた「大河ドラマ」的な内容。Netflixが最大の制作費を注ぎ込んだとかで、2016年のゴールデングローブ賞でベストドラマを撮った。その際、スピーチで企画段階から受賞を狙いに行った、と社長が話していた。受賞したいがために、逆算で世界一有名な主人公を選んで企画したらしい。主人公の女性(クレア・フォイ)は実物よりも美人。お話的には子供と一緒に見ることができるレベルながら、「皇室と人権」というテーマは重く(実は「退位」も一つのテーマになっているので)今の日本人こそこれを見たら良いのにね、とも思った。好評らしくシーズン2製作決定。

https://www.youtube.com/watch?v=at53Mhk8wg8


とりあえず、このくらいで。

(注:上の三つのドラマにも増してブレイキング・バッドは凄いと思うが、これはNetflixの自社制作ではない。あと、世界的な知名度・人気ではHBOが作っているゲームオブスローンズが最強。)

あと、Netflixは硬派なドキュメンタリー作品を自社でたくさん手掛けている点も補足しておきたい。「憲法第13条(黒人問題)」とか「ホワイトヘルメット(シリア問題)」とか。NHKスペシャルを更に乾いた感じにしたものが多い。こういうのを見るのも勉強になる。(ただし、公平に見て、NHKスペシャルは、ネットフリックスのドキュメンタリーと比較しても遜色ないと思う)

2017年3月5日日曜日

アメリカ世帯の4割以上が加入するNetflixにハマる



「アメリカでいろいろなサービスを利用することで日本の少し先の将来を予想してみたい」と、こちらに来る前から思っていた。実際に体験した中で個人的に「これは予想以上に破壊的なイノベーションだな」と思った一つがNetflixだ。

現在、アメリカを起点に「映画、テレビドラマからストリーミングドラマへ」という映像娯楽業界でのダイナミックな構造変化(予算と人材が動いている)が進行しているのだ。


Netflixのコンテンツ制作部門が入るビル(@L.A.)


それはともかく、これでドラマを見るのがラクで楽しくて仕方ない。僕は、10年ほど前に共働きの子育てに突入して以来忙しかったので「ドラマは見ない」方針にしていた。なので、日本のドラマはほとんど見ていないのだが、Netflixで見るアメリカのドラマ、特にNetflix独自制作コンテンツ"Narcos","The Crown","Stranger Things","House of Card"などは日本のドラマとは予算とクリエイターのレベルが違う次元に突入している。ちなみに、子供用のコンテンツもあって、子供もNetflixを愛用するようになった。

これだけ良いコンテンツがあって、月に10ドルという価格は他の業態と比較すると価格破壊以外の何物でもない。なお、自分にとっては「面白い」と思えるドラマが多かったので、お買い得感があったわけで、そう思わない人にとってはお得感は無いのかもしれない。しかし、とにかくびっくりした。

何よりNetflix上のコンテンツでハマってしまったのが、史上最強のTVシリーズとの評価もある"Breaking Bad"。このシリーズはNetflixオリジナルコンテンツではないのだが、とにかくこれの第1話に出来心で手を出したのが運の尽き、最後の第5シーズンまで(全部で62話 46時間相当)を爆走(binge watch)することになってしまい、一時期は、頭がBreaking Badのことで一杯になってしまう状態に陥った。視聴計画を立てPDCA管理で消化していく状況を、家人から酷評される始末。

ドラマは大体家で一人の時に見ている。しかし、「誰かとこれらドラマの話をしたい」という欲求は抑え難いので、Skype英会話の先生(ヨーロッパ人)を捕まえては、ドラマ話をしている。欧州人の先生たちも結構な割合でこれらを見ている。このことから、これらは「(アメリカだけでない)グローバルなエンターテイメント」だと実感する。ルーマニア人の女の先生からBreaking Badのトリビアサイトを教えてもらうなど、謎の交友が広がっている。

なお、アメリカ契約のNetflixだと基本的には日本語吹き替えや日本語字幕はないので、英語字幕で見ている。「これが英語の勉強になるのだ」とのエクスキューズで。実際に勉強になっているかどうかは不明。

ご参考)環境としては、主に、Amazon Fire Stick TVによるTV視聴とMacBookPro(Retina)で見ている、時々iPad Air(第二世代)。全く不満はない。

2017年3月2日木曜日

第二言語学習の科学とImmersionとLA LA LAND


本記事で言いたいことは「"LA LA LAND”を娘と映画館に見にいって嬉しかった」ということだけなのですが、照れ隠しがてらに前置きとして英語教育・勉強話をつけました。長くてすみません。

この1年間は自分と子供を使った「第二言語学習」の実証実験的な期間とも振り返ることができる。

ちょうど滞米10ヶ月目くらいのタイミングで名著とされる『外国語学習の科学ー第二言語習得論とは何か』を読んだら、自分たちが経験したり不思議に思っていたことがズバリ整理されていて大変有益だった。

この本においても、以前に読んだ元エール大学の斉藤先生の『世界の非ネイティブエリートがやっている英語学習法』の本でも、共通して強調されているのは語学学習におけるImmersion(イマージョン 解説はココ)のパワーである。

Immersionは唯一の解ではないし、Immersionだけでは不十分なのだが、この方法にはパワーがある、ということは自分たちの経験からも実感できる。

子供は学校で一日6時間のImmersionをすると英語脳になって帰ってくるし、自分も合宿に参加して6日間24時間英語しか使えなかった時は少しだけレベルアップした気がした。

ちなみに、ここケンブリッジ市の小学校には”SEI”という外国人の子供向けの英語クラスがあり、子供もそこに通っている。この名称は"Sheltered English Immersion”の略だ。科学的な知見を用いて教育を行うことに熱心なこの市がクラスの名称にImmersionを使っているのだ。

とはいえ、Immersionは留学や海外生活といった特殊な状況が揃わないとなかなか実現できない。

そこで代替的な方法として思い浮かんだのが「映画館で英語の映画を字幕なしで見る」ということ。「大画面・大音量に没入して英語を浴びる」のは英語のImmersion学習だ!という解釈だ。

これはこじつけているだけで、実際は「字幕なしでほとんど意味が分からず落ち込むだけ」だったりするのだが、やらないよりはいいと思う。

残念ながらアカデミー賞は逃してしまったが、娘(幼稚園年長)も「見たい!」ということなので一緒に"LA LA LAND"を見に行ってきた。(家でよく親にサントラを聴かされていることが原因かと思料)

ハンバーガー屋さんの看板が授賞式の混乱をネタに。


Immersionの効果はともかく「一緒に映画館で”LA LA LAND”を見た」という経験がPriceless。


ちなみに『外国語学習の科学』内で説明されている知見として、アメリカに移民してきた子の英語取得度合いは、親のアメリカ「文化」の選好度合いに比例する、というものがある。スペイン系や中国系だと、「アメリカ文化」を気にせず家で母国語のテレビだけ見て暮らすことも可能であり、そういう家の子供は英語の取得が遅いそうだ。当たり前すぎて知見というほどのことでもない気がするが、そういう点では子供の英語学習に貢献できているかなとは思う。 (事実としては、貢献どころか、ある部分ではもう抜かされつつあるが。)