2016年7月4日月曜日

フェンウェイパークは「全米で最も愛される(最も高価な)球場」-2- 「最も高価な」編。


メジャーリーグを扱った「Money Ball」という映画が好きだ。 RED SOXの本拠地フェンウェイパークはこの映画の最後の重要な舞台として登場する。そこでの文脈は、RED SOXには辣腕で金のある経営者がいて、主人公(ビリー・ビーン)を引き抜こうとする、というものだった。これが暗示している通り、RED SOXの球団経営は洗練・高度化されている。

古いけど綺麗、な球場

それは球場を見てもすぐに分かった。古くて狭い球場だが、設備投資が継続的になされていることが感じられる。また、限られた席数の中で少しでも収益を上げるために最大限の工夫がされている。実際、外野席も狭くてきつい。稼ぎを極大化するためだろう。実際、外野の特等席は一つの席一試合10万円で取引されることもある。


入場料金はメジャーリーグの中で一番高い。外野でも40ドルくらいは当たり前。さらに、対戦相手ごとに人気に応じて異なるように設定されている上、一列毎に違うくらいの勢いで席の値段が細分化されており「最大限稼ぐぞ」という経営者の意欲を感じる。(注:これは、リセールサイトのStubhubでの話なので、厳密にはRED SOXの経営ではないのだが)

偶然にもマリナーズの先発は岩隈



また、ディズニーランド方式というべきか、ペットボトルのドリンクすら持ち込み禁止で、中で買わないといけない。日本の球場のように缶ビールは入り口でカップに移して…などはありえない。それで、内部では水のペットボトルが4.5ドル、ハンバーガー一個10ドル。生ビール10ドル。ちなみに、ビールは、年齢証明のIDがないと売ってくれない。入場券以外に一人30ドル以上は使わせよう、というマーケティングサイドの強い意思を感じた。うちが持って行った水筒とおにぎりはお目こぼしだったので助かった。


夕暮れのグリーンモンスター。(今回の席からは見えづらかった)


それにしても、こういう値段では、庶民は気軽に楽しめないと思う。(ボストン市民の半数以上は、年収は350万以下と新聞記事で読んだ。)「昔は外野席は1ドルくらいで入れたもんだよ。今は狂っている」と、とある古参ファンの方が嘆いていた。


それでは球場に来られない人はテレビで見れば良いか、というと、レッドソックスの生中継を見るためにはそれなりに高額なケーブルテレビのチャンネルを月額契約をしなければいけない。この局が「独占企業」であるために値段が高止まりしてる。仕方ないので、うちはMLB.TVの契約をしてネットで見る程度。(しかも、ネットだとホームチームエリアでは生中継は見られないようにIPでコントロールしている。本当に収益に貪欲な人達だ。)野球観戦は「庶民の娯楽」ではなくなりつつあることを肌で感じた。短期的には収益は上がるかもしれないが、将来的に向けた裾野の拡大は大丈夫なのだろうか。

フェンウェイパークがアメリカの一つの象徴だとすれば、こうした収益への飽くなき貪欲性、格差社会の部分も含めて象徴してしまっている部分もあると感じた。

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