2016年12月22日木曜日

Season's Greetings from Cambridge


初めて経験するアメリカでのクリスマス。

意外に静かなものに感じる。

交通渋滞の状況から推し量るに、仕事人が休暇に入るのはかなり早かった気がする。先週末から道路はすき始めていた。その分、年始の立ち上がりが早いようだ。


La La Land 風な色彩の空@ハーバードのハウス



Trinity Church


下は、今月映画館で予告編の前によく流れていたAppleのCF。(2 min.)

2016年の世相に対するメッセージが込められていると思われる。Apple的にギリギリのところだろう。

ただし、こういうのも「余裕のある」層のスカした自己満足では?という疑念が台頭した年でもあったとも言えるだろう。




ところで、本投稿で99本目。我ながらよく書いた。

おつきあい頂いた方には感謝です。

少しばかりホリデー休暇を取って、年明けから再開予定です。

Happy Holidays and warm wishes for 2017!

2016年12月19日月曜日

小学校で「Executive Functioning」



子どもが通っている小学校には月に1回、金曜日の朝8時30分から9時30分、コーヒートークという保護者向けイベントがある。

日本語で言えば文字通り「茶話会」であり、学校内外の専門家が、何らかのトピックについて話をする会だ。
12月のテーマは「子どもの"Executive functioning"を育てるには?」というものだった。


この日は前日から北極から寒波がボストンに流れ込んできたとかで、朝の気温が-16度だった。にも関わらず、会場の図書室は盛況で、50人近くの保護者が集まっていた。うち父親は2割から3割。こういうところだけでも、この辺(へん)の親の「意識の高さ」が感じられる。




講師は、学校付きのソーシャルワーカーの先生。アメリカではソーシャルワーカーの地位が高いとは知っていたが、実際にこの職業の人の話を聞くのは初めてなので嬉しい。

いつも通り、コーヒーや軽食があり、講師がMacbookAirを使ってスライドを投影しながら1時間程度の話をした。途中、フロアからの質問も結構出る。


そもそも、Executive functionという概念にそのものズバリ当てはまる日本語がないように思うが、「将来や状況を見通した上で、自分を統制して実行をしていく能力」というような概念で、Knowledge Wokerに必要なスキルそのものである。子供であれば「この先に何があるかを踏まえて、自分のことを自分でやる」的な能力を指すらしい。これを日常生活の中で、どうやって子供に育んでいくか、というのがテーマだった。基本はお手伝いや部屋の片付けから、ということになる。

若干導入部分の話を紹介すると、子供を成功に導くには、学力だけでなく、以下のSuccess Factorが重要だということだ。

  • 時間管理
  • 自己有能感
  • モチベーション
  • マインドセット(Growth mind setが大事。Fixed mind set はNG)
  • 効果的な努力
  • エグゼクティブファンクション(今日の本題)
の六つが必要だと言う話があった。これで思い出したのは、専門家の言うところの「非認知能力」という概念だ。こう言う専門的な知見に基づく話が普通にされていることに驚く(ここは公立ながらも例外的なのではないかと思っている)




話が終わってから、隣の席のお母さん(カナダ人)に「こういう能力は大人の職場でも重要ですよね。でも、日本にはExecutive Functionにぴったり来る日本語の言葉がないんですよね・・・」と話しかけたら、「概念を持つことは重要よ。20年前には私の国でもADHDとかADDとか、知られてなかったけど、こういうのを知れば問題に対処できるじゃない。アメリカはそういう点では進んでると思うわ。それに今日習った内容は私がMBAの組織行動論で聞いた内容と似てたわ」とあっさりと言われた。何とも、おそろしく意識の高い事である。

2016年12月15日木曜日

ボストン名物、いたるところでコンテクストに応じた"All set"


ボストンには"All set"という独特の頻出表現がある、と、日本にいた時から知っていた。

具体的には、英語学習者用のPodcast「All Ears English」の中のとあるエピソードで聞いた。前もって知っていたおかげで、こちらで現地人の"All set"との発声を最初に聞いた時にはすぐに分かった。「あ、本当に言うんだ」という感じで受け止めることができた。耳学問とはいえ、予習は役に立つ。



それにしても。引っ越してきてこちらで暮らしていると、とにかく街の中(少なくともケンブリッジの街)の日常で"All set"が予想以上に連発される。これには驚いた。街中にいると一日に一回以上は必ず聞くイメージだ。
店に入ってブラブラしていると店員さんが掛けてくる第一声が"Are you all set?"。何か商品の説明を聞いて終わると"All set?" 会計して終わるとレシートを渡しながら店員さんが"All set.(下げのイントネーション)"。イントネーションのバリエーションが豊富なのがポイントだ。店員だけではない。買い物客の方が探し物を相談していた店員に対して退店する時に"I'm all set."と目配せしながら言って帰るのも見た。君たち本当に"All set"が好きだな、と思う。調べてみたらボストンには All Set Restaurant & Barという店まである。

"All set"とは、文字通り、「O.K.」「セットされました」「分かった」「問題ない」というような意味だとの事だ。お笑い芸人好きの僕としては、ねずっちの「整いました」を思い出す。"All set"の 意味的なニュアンスはその場面場面のコンテクストに依存しており、それをイントネーションや表情に反映して使われているようだ。




"ザ・ハイコンテクストコミュニケーション"の国「日本」から来た僕には意外に嬉しくなるコミュニケーションだ。かつて、僕は講師として、異文化間コミュニケーションに触れて「アメリカ(英語)は低コンテクスト依存のコミュニケーションなんですよ」などとバサっと説明したこともあったけど、単純ではないなと思う。

さて、このAll setは意外に言語のイマージョン教育に良い言葉かも、ということを思いついたので、子供に英語を教える一環として、家の中で「しかるべきタイミングで、all setを使おうプレイ」をやってみた。歯磨きした後、何か説明をしたなどに「Are you all set?」「I'm all set.」という感じで家の中でも"All set"を連発してみている。確かにこの言葉、シンプルなのに幅広く使えるので、なかなか便利だ。子供が、英語の感覚をつかむ助けになれば、と願う。

なお、この"All set"は、ボストンの方言的なものだという説があり、米国内でも他のエリアではあまり言わない、少なくとも他のエリアでは当地ほど使わない、という情報を見る。どうなのでしょうか。

ちなみに、冒頭に紹介したPodcastは日常英語の勉強に役立つので、こちらでも聴き続けている。パーソナリティのうちの一人がボストニアンで、あるエピソードでボストン方言が話題になっていた。なお、他には、ボストンはRの舌の巻きが弱いということと、bummerという単語が紹介されていた。

2016年12月12日月曜日

これが本当のアイビーリーグ<大学のアメリカンフットボール>


僕はこれまでアメリカンフットボールとはほぼ縁のない人生を送ってきた。

しかし、こちらに暮らして8ヶ月、一番人気があるスポーツはアメフトだ、ということはよく分かった。テレビでも、新聞でも、Webメディアでも、近所のグラウンドでも、スポーツ用品店でも扱いは別格だ。

それだけに?NFL(当地:ニューイングランド ペイトリオッツの試合の観戦チケットは驚くほど高額(余裕で一人1万円以上)で、見に行くべきか迷っている。

そんな中、大学スポーツのアメフトなら一人15$前後で見られる、ということに気がつき、ハーバード大学アメフト部クリムゾン(一橋大学関係者には感慨もひとしお、の名前でもある)の試合を見に行くことにした。



対戦相手にこだわりはなかったが、日程的にコロンビア大学戦が良さそうだったので、これをWEBで予約。「これが本当のアイビーリーグ」とオヤジギャグを言いたくて、なんども呟いてしまった。

本当にIvy Leagueです


大学スポーツながら、スタジアム入り口のバゲッジチェックは厳しく、食料品は全て捨てろ、という管理は厳しいあたりはプロ並みだ。客層は女性も多く、家族連れも多い。客層にワイルドな感じはない。何も知らずに行ったので、間違えて、コロンビア大学サイドの応援席に入ってしまったが、最前列でど迫力だった。

以下、アメフト音痴の感想(本当にど素人の感想で申し訳ない限りです)

  • 何でこんなに選手がいるの?特にホームのハーバード側はコートサイドに大量の選手がわさわさしていて驚く。100人近く居たような・・・。
  • アメフトってこんなに頻繁に選手交代するんだ、知らなかった。
  • アメフトというスポーツは思ったより持久力よりも瞬発力が重要と知る。というか太鼓腹の学生選手が多い。そういえば、廃業した力士が何人かアメフトに挑戦してたな、、と思い出した。
  • 選手も多いし、審判も多いし、道具も大変だし、いかにも物量の国アメリカらしいスポーツだと思う。ボール一つのサッカーと比べて差が顕著。
  • 得点とった方のチームの応援団が点数分腕立て伏せをする風習があるらしい。「意気軒昂」な所を示すため、とか。実際見たけど笑えた。
  • チアリーダーという仕組みを改めて見ると、性別役割分業の最たるもので、こういう分業を是としていることと「ロッカールームトーク」が許される風土はどこか繋がっているのではないか。


ちなみに、2016年11月、ハーバード大学の体育会活動では、セクハラ(的な)問題での部活動全体の停止処分が相次いでいる(記事)。かなりリベラルな地域ではあるが、一方で、そういう面もあることはご紹介しておきたい。 

2016年12月9日金曜日

ご当地映画:マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the sea


この投稿タイトルの映画が、愛聴しているTBSラジオの町山さんの映画コラムのコーナーにて「ボストン地域ゆかりの映画」として紹介されるのを聴いたので、映画館へ行ってきた。

マンチェスターというと「イギリス?」と思うが、ここニューイングランド地方に実際にManchester by the sea という名前の街があるそうだ。


今住んでいるところダイレクトにそのものではないが、New Englandエリアの風景が出てくるので、映画の世界に浸ることができる。


いつもと違う映画館へ遠征(市内のKendall Square)



あらすじとしては「ボストンで用務員として黙々と働く中年男性(というか、僕と同じ歳の設定だ)が、とある事件をきっかけに、一度は捨てた故郷に帰り人生を見つめ直す・・・」という感じのありがちな感じのものだ。

ただし、町山さんのラジオの紹介書き起こしの記事にあるように、渋い作りの映画になっている。簡単に楽しめる作品ではなく、観た人によって好悪が別れるタイプの作品だとは思うが、個人的にはかなり良かったと感じた。

ストーリー全体からも、一見、無駄と見えるようなシーンからも、監督・脚本の確固とした世界観、人間観が感じられた。たとえば、主人公二人が誰かの家を訪ねた帰りに、「車どこに止めたっけ?」ということで住宅街を下を向きながら歩き回っているだけのシーンがある。やがて車は普通に見つかったが、特にオチはなかった。ストーリーを進める上では全く意味のないシーンだ。しかし、なんとなく「人生には、こういう、意味もなく、オチもないウロウロがよくあるよね」という心象が伝わってくるのだ。

あと、マサチューセッツ州のリアルなワーキングクラスの苦闘を描いていると言える部分もあり、ある意味では「トランプ現象」の下敷きとなった社会を活写していると言えなくもない。誠実な作りのたまものだろう。




今年、僕は、アメリカで英語がわからないままに現地で映画を観ているという特殊な状況にある。その中では、これまで観てきた映画の中で一番素直に「良かった」と言える気すらするほど良かった。ストーリーが比較的シンプルで、セリフに頼る部分の少ない映画なので助かったからそう感じているのかもしれない。(とは言え、現実と回想が行き来してわかりづらい部分もあった)

本作は評判が高く、アカデミー賞に主演男優賞などで食い込んでくるかも、という話もあるらしいが、それも納得の主役ケーシー・アフレックの演技だった。

日本公開日は現段階では未定とのことだが、もししてくれたとすれば、帰国後日本で見られる機会があるかもしれない。(もう一度見ても良いと思っている)

2016年12月6日火曜日

Are you kidding me?(まじで?)


ここ数年、僕は中年の身に鞭打って英語力の向上に努めてきた。しかし、こちらにきても結局大した向上が実感できず、このあたりがオレの限界か・・・、と諦め(悟り)気味の最近だ。

それはさておき、今回は、子どもたち(9歳と6歳)の英語の身につけ方を観察してきたことを少し記録しておきたい。

彼らはほとんど英語を知らない状態(できる範囲で少し馴染ませることは東京でやった)でアメリカにやってきた。4月にこちらのパブリックスクールの外国人向けクラスに編入させた時に学校の先生が言った。

「私たちも教えるけど、子どもは同じクラスの別の子どもから英語を学ぶのよ」

この言葉は何か印象深く残ったが、8ヶ月経過後の今は、これが本当だとよくわかる。

もちろん、先生たちが英語を教えてくれる術も立派なものだが、家で子どもの口からポロポロ出てくる英語を聞いていると、「あ、クラスルームの友達同士の会話でそういうフレーズが出ているんだな」と感じるものが多い。以下、概ね時系列的に出てきた順。


  • Can I see ?
  • Look! Look at that!
  • Do it! 
  • Stop it, XXX!(ここにクラスの問題児の名前が入る) 
  • Don't do that. 
  • I hate〜. 
  • Can I eat?  (数ヶ月すると、Can I のバリエーションが広がっていく)
  • Can you bring this? 
  • Stop saying that.
  • Over here? 
  • What are you doing?
ああ、笑えるかな小学生男子だな、と思うのは、
  • What the heck! (なんてこった! FXXXの変形らしい What the hellという子もいるよ、とのこと。これとにかく小学生男子の間で頻発するらしい)
  • Are you kidding me?  (お前なめてんの?)
  • Are you crazy? (オメー、頭おかしくね?)

の三つをかなり早い段階で覚えてきたこと。

三単元のSとか全くお構いなしにこういう言葉から先に覚えていくのが見ていて面白い、というか羨ましい。

A:"Are you kidding me?(なめてんだろ?)"
B:"No, I'm not.(なめてないよ)"
A:"You are!(いや、お前なめてる)"

のやりとりみたいな、とてもシンプルな単語だけながらも「英語がフィジカルに体に入ってないと絶対にできない会話」を聞くにつけ、受験英語、ガリ勉英語一本できたおじさんとしてはせつない。

ちなみに、発音は当然いい。これは下の娘の方が良い。特にRとLが明快に分かれている。幼稚園で、一音づつフォニックスの指導をしてくれているらしい。発音が良すぎて何を行ってるか聞き取れない時がある。

子どもの言うことが、文法的に間違っていることは結構ある。ただし、これは絶対に指摘しないようにしている。たとえば、"Can I playing a Pokemon GO?"などというが、全く直さない。僕は基本的に押し付けがましい、あまり指導適性の無い親だと自覚しているが、これだけは注意している。(追記:子供の証言によると、クラスの子の中には、Mr. Trump is don't OK. とか言っている子(南米から来たばかり)もいるらしい)

こちらで「子どもの英語教育」について外国人に相談すると「家庭内で親子で英語で話す」というのが究極のアドバイスのようだ。街や近所で注意深く観察すると、韓国人や北欧系の親子は、親子だけの時でも二人で英語で話しているのを見かける。

日本人のご家庭でも、こうしているご家庭が時々いらっしゃるようだが、少数だと思う。親の覚悟の問題なのだろうか。

逡巡しつつも、僕も、学校の行き帰りくらいは子どもの英語にお付き合いさせていただいている。





2016年12月3日土曜日

ボストンで聞いているラジオ局 -2-


前に書いた記事に続いて、こちらで聞いているラジオ局をご紹介。




ヒット曲を扱うステーション。R&B、ヒップホップなど。ウーバーで、黒人でいい車に乗ってるドライバーがよく聞いている感じ。僕も若作りして時代についていくためには、この局も時々聞かねばならない。(誰にも頼まれていないのだが)
ボストンのクラッシック音楽局、なので、当然ボストンフィルのシンフォニーが中心。それはそれでいいのだけれど、この局だけだと少し疲れる。
いわゆるNPRラジオで、ボストンパブリックライブラリーにスタジオがある。基本的にニュースやトークショーなので聞き取りとしてはハードルが高い。ヒアリングの修行になる。


この局は正直、ボストンとは関係ないのだが、クラッシックについてはLondonから発信しているこの、Classic FMが一番落ち着く。これまでいろいろなクラッシック局を聞こうと試したてきたけれど、結局、日本にいた時から長年聞いているこの局に回帰してしまう。ブリティッシュアクセントなナビゲートと落ち着いたジングルの組み合わせにしっかり慣れてしまった。特に、ここに引っ越してきて気分が落ち着かない4月の頭頃は、日本でよく聴いていたこの局の聞くことでかなりリラックスした。この曲を流すと、部屋の空間がすぐに「馴染みの雰囲気」になるのがありがたい。日本にいた時も感じたことだが(朝は朝っぽく、夜は夜っぽく放送しているので)Londonとの時差が無ければ最高なのだが。

インターネットで聞くラジオ以外では、"Amazon Prime Music"と自分で構築した10000曲の"iTunes Match"も適宜活用している。

加えて、東京時代からヘビーリスナーだった、TBSラジオもこちらでも引き続きよく聞いている。どうやって?というところもそのうち紹介したい。

それにしても我が事ながら過剰な体制だ。音楽とラジオの話は尽きない・・・。