2016年9月30日金曜日

ボストンからSkype経由でフィリピンのスクールで英会話 -2-


前回投稿からの続き。オンラインフィリピン英会話の話。(写真は本文とは無関係なボストンのフランクリン動物園)

フィリピーノと盛り上がる話題その1:「対中国」。これは鉄板で盛り上がる。僕は中国人の友人もいるし、日中友好論者なので、どういう話かは具体的には書かないけれど、この話題(海洋権益・・)を出すと鉄板で盛り上がる。

フィリピーノと盛り上がる話題その2:「フィリピンの新大統領」。ちょうど時期的に選挙をしていたからかと思うが、この話題への関心が高かった。僕が話した講師の皆さんは当時は大体この新大統領に好意的だった。その後、就任して結構乱暴なことをやっているとのニュースが出ているが、こちらの記事が大変面白い。(一度ドゥテルテ大統領のことを「トランプみたいな」と軽口を叩いてしまったら、講師の人が「それは違う。彼の実家を見てみて。めちゃ質素だから」と反論してきたことを思い出す)



フィリピーノと盛り上がる話題その3:「英語教育」。子供にどう英語教育をするか、フィリピンではどうしているか?フィリピンに日本の小中学生が英語留学をどのくらいしているか?など。日本の生徒を中国・韓国と比較するとどう?と聞いてい見るのも色々学びが多かった。あと、子供の英語について必ず言われるのは、「家の中でも親子で英語で話したほうが良い」ということ。僕の接した限りでは、フィリピン人の英語講師はこうやって育てられてきた人が多く、僕にも勧めてくる。しかし、これはなかなか受け入れがたい。でも本当に多くの講師にこれを勧められた。

フィリピーノと盛り上がる話題その4:「文化論」。段々分かってきたのだが、フィリピンの人は日本人に対して「立派な国」「すごい国」というリスペクトがある一方で「時間にうるさくて、くそまじめ、で面倒くさい」と思っている人も多いようだ。この英会話スクールは日本資本の経営だったので、講師に「日本人経営の会社って、面倒くさくない?」とあえてこちらから振ってみると、結構多くの講師が「そうなのよ〜」と途端に熱弁をふるってくれた。この日本企業は定時出社にうるさい、定時出社を守らせるためのインセンティブボーナスがある、などの話も聞けた。それから、フィリピンには「マニャーナハビット」というカルチャーがあると教わった。

草も子供も


以上、4つくらいの話題が盛り上がるトピックスだった。



講師たちの話から、自分の視野の狭さを気づかせてもらうことも多かった。例えば、「日本人の若者は最近あまり留学したがらない。内向きで、ちょっと問題だと思う」と言ったら、「優秀な若者が国に残るのはいいことじゃない。こちらなんて、優秀な学生が皆海外に出ていってしまうんだから」と返され「そういう見方もありか…」と思った。それから、「日本の政治家なんて、自分のことしか考えていない、ロクデモない人々」とかぼやいたら「悪いって具体的にどのくらい悪いの?フィリピンの政治家より悪いの?」と聞かれ、「いや、わからないけれど、そう言われてみると、そんなに悪くない気もする…」と答えてしまったこともあった。

3ヶ月くらい毎日やっているとなんとなくダラダラとトークするようになってしまったので(負荷のないトレーニングでは効果が薄いと思い)4ヶ月満了で一旦退会したが、また再開するかもしれない。

ポケモントレーナーの皆様へ。動物園より。

2016年9月27日火曜日

ボストンからSkype経由でフィリピンのスクールで英会話 -1-


こちらに来た当初から4ヶ月、ほぼ毎日フィリピンの語学学校と30分Skypeを繋いで英会話をしていた。(ちなみに、QQ English の毎日25分の月定額プラン

「アメリカに住んでいるのになんで?」と思われるかもしれないが、これは意外に「駐在者あるある」で、企業の駐在などでもこうしている人は他にも聞く。

理由としては、住んでいるとはいえ、英語を「話す」機会が毎日豊富にあるわけではない、一方で、そうは言っても、英語を話す事を切迫度高く求められることは日本にいる時よりは多いので、真面目な人(注:僕ですよ)は「自主練せねばならない・・・」となり、Skypeに頼ることになる。

先日(とは言ってももう2か月近く前)、一旦退会したので、感想などまとめておきたい。まずは、外形的なところから。

写真は、ボストンの動物園



予約時間については、予約のWEB設定表示を東海岸用にずらすことができるのでスムーズに使える。QQEnglishは、基本は日本顧客向け事業なので、講師のシフトや混雑度は日本時間が基準になっている。東海岸だと午後は休業時間に当たる。午前中は、日本の夜なので、予約競争がやや厳しめ。早起きして日本時間の夕方を狙う、というパターンがはまりやすかった。

先生たちに「アメリカに住んでいる」と話すと非常に羨ましがられる。僕はたまたま日本に産まれて良かった、と思う。そして、どんな先生であっても、そこから大体同じ質問が繰り出される(なんで?いつから?家族は?)ので、同じような説明を毎日繰り返すことになり、ややうんざりさせられるが、これはこれで初期には訓練として役には立った。実生活でもそういうことを話すことが多いので。しかし、2ケ月もするといよいよ面倒臭くなってくるので、その頃はアメリカに住んでいることを隠して話していた。あと、Bostonというと、なぜか何度か「ヒューストン」と間違われたことが記憶に残る。僕の発音が悪いのか。

普通に動物園です。上野よりは多摩に似てる。ゆとりあります。


自分の場合は、前日にしか予約できない(低価格)プランを契約していたので、適当に空いている先生を指名していたが、自分的に納得出来るレベルの指導をしてくれる先生は本当に少ない。2ヶ月くらいとっかえひっかえやってようやく語学教師と言える良い先生を見つけた、というのが実感。文句は言えないかなと思う。なぜなら、市場経済の中で、良い先生は、とっくに高単価のオンラインコースや対面教室に異動している。これはプロの対面サービス業だから当たり前といえば当たり前。経験上、コンサルタントやインストラクターも同じだった。

とにかく、低コスト(自分でいえば、一レッスン200円)で毎日30分の英会話を確保できるのだから、それで納得するべきかなと思ってはいる。

次回、レッスンの中身についての覚え書き、へと続く。

2016年9月24日土曜日

小学校のPTA活動に少しだけ乗り出す



9月頭から新年度となり、子供の通う小学校も新学期のスタートを切った。自分も「意識の高い」主夫として育児を積極的に担うべく…というわけでもないのだが、学校のPTA活動に顔を出していくことにしたいと思っている。手始めにステアリングコミッティというPTAの幹部会合に参加(傍聴)してみることにした。

連絡Eメールには、17時30分から学校の図書館で行う、とある。日本人のおっさんらしく、きっちり17時30分に行ったところ、机のセッティングはされており、入り口に軽食用のピザがドーンと置いてあるが、人が4人くらいしかいない。"また、ゆるゆるのアメリカ時間か…”と思ったが、Agendaシートを見ると、17時30分から17時45分はアイスブレイキングと自己紹介となっていた。35分くらいにリュックを背負った校長先生を筆頭に、親たちも集まり出した。どうやら、日本人は自分だけ、英語がかなり不自由なのは自分だけ、男性は3名だけ、あとは皆女性、という超アウェイの会議のようだ。



とてもインターナショナルな学校。ある意味、ダイバーシティの極致。


最初は自己紹介タイムで、僕は完全に傍聴のつもりだったのに、自己紹介はさせられる羽目になった。こういう時(不意打ち的な時&周囲が純ネイティブばかり)には特に英語がうまく出てこないのは本当に情けない。

さて、意外にも?きっかり45分から議題に沿って議事が始まった。最初は意外に「シャンシャン総会」的に進んでいたのだが、途中「朝、学校への遅刻が多い」「遅刻した生徒をもっと厳しく扱うべきでは?」というような話題になった途端に、発言者が相次ぎ一気に炎上状態に。我が家もアメリカに来てから「ルーズな時間感覚」には色々思うところがあるのだが、アメリカ人の中でもいろんな意見があるようだ。文化的多様性の幅の広さは日本の比ではないだろうから、まとめる校長も大変だろう。

しかし、これまた残念なことに、僕のリスニング力の限界で発言の個々の内容があまり理解できない。ここの学校の個別事情が分からないことや、アメリカの教育界の独自用語が飛び交っていることもあるが、それにしても理解度が低い。実は直近のTOEFLリスニングセクションでは望外に良い点を取ったのだけど、それであってもこの程度の理解力、というのが純ジャパおじさん英語力の厳しい現実だ。とはいえ、必死で聞いていると、皆、意見は言っているが、割と場の論点を気にせず自分の言いたいことを言っている感じはする。

別の日の催しの風景







遅刻問題で20分以上炎上して、最後は校長が「いや、予期せぬ(Unexpected)トピックではあったし、完璧な解決策はないけれども…学校としてもこの問題を考えます」的にこの話題を締めた。

ちなみに、この校長先生は僕と同年輩くらいで校長としては若そうだ。そして、Ph.Dをお持ちだ。高学歴者の多い文教地区なので、公立学校の校長でも博士号を持っていないとまとめていけないのかもしれない。この校長からのレターの英文は妙に格調高すぎで解読に苦労する。そのことなのかはわからないものの、隣に座っていたお母さんが会議中に挙手して「学校からくる手紙の言葉が難しすぎる、まるで警察からの手紙かと思う。子供に読んで聞かせるのに相応しくない。言葉の問題には気を配って欲しい」と熱弁を奮っていたが、このお母さんの話す英語は全く流暢だった。その横で僕は「あぁ、、自分のリスニング力もスピーキン力もまだまだだな・・・」と思い発言できることも無く無言で座り続けた。そんなステアリングコミッティの初回だった。


その後、さらにPTA活動に踏み込んでいるのでまたここに書くとおもいます。

追記1:小学校の教育の現場に修士号以上の人が普通にいる。以前、日本は全体として「低学歴」な国ではないか?という記事を読んだことがあるが、確かにそうかもなぁと思うことがこちら来て時々ある。

追記2:後日、学校の職員が「このステアリングコミッティに出る(傍聴)することが、学校を理解する上でとても有効だ」と話していたが、これは実際にそうだと思った。先生も親もキーパーソンが勢ぞろいで分かる。ただし普通の親の出席率はそれほど高くない。

追記3:少し真面目な話「純アメリカの会議がどう進行され、ファシリテーションされるか」というあたりはかなり真剣に観察して記録しているが、その辺はまた機会があれば。

2016年9月21日水曜日

フェンウェイパークに堂々と流れる日本語レゲエ「もぐらの唄」



(最新状況では地区優勝が見えてきたご当地RED SOX。少し前の見物時の話)

8月末のRED SOX本拠地フェンウェイパークのデーゲーム。気候は涼しかったが、ゲーム内容の方は熱かった。
序盤、RED SOXの先発投手がピリッとせずダラダラと点を取られ、4対1でリードされるという重苦しい展開が続く。中盤、レゲエ頭のハンリー・ラミレスの満塁ホームランで一気に逆転して満員の地元観客は熱狂。さらに追加点も1点入れて2点リード。これで勝てるかな、という雰囲気が出たところで、中継ぎ投手が不調。8回の表にツーアウト満塁になってしまった。観客のイライラ含みのヒートはほぼ最高潮。内野席の子供・おばちゃんも、おじさんも、絶叫する。

人はレッドソックスのファンになるのではない。フェンウェイパークのファンになる。(筆者)



ここで投手交代により指名されたが、田沢純一投手。

"なんとかしてくれ…"と祈る満場のファンの大歓声を受け、右翼のブルペンから重責のマウンドへダッシュしていく姿を見て、鳥肌立った。


マウンドへ走っていく田沢投手。しびれた。


そして、この時、球場に鳴り響いている彼の入場ソングに・・・これ何だろ?日本語?と気づく。あまり明瞭に歌詞が聞き取れたわけではないが、日本語ヒップホップのような曲で、何か"三木道三"的なものを感じた。この空間(ボストン・おしゃれな球場・外国人ばかりで日本人ほぼ皆無・他の選手の入場曲は基本英語ロックかR&B)のコンテクストを考えるととっても日本的な養分が際立つ曲だ。なんで田沢はこんなKYな曲を選んでるんだ?と思ったが、この種の"空気読まなさ"は逆に異国でプロとして個人で戦うためには、必要なことなのかもしれない。

帰宅してインターネットで曲を調べてみた。すると、素晴らしい記事があったので、ぜひリンク先のこの記事を一読のうえ、興味があれば「もぐらの唄」、お聞きください。彼のキャリアと歌詞がシンクロして、家でYoutube見ながらまた鳥肌たってしまった。この曲が現地民でいっぱいのフェンウェイパークに大音量で流れているのがすごい。

この手のジャパニーズレゲエとかヒップホップはこれまでもこれからも苦手分野だとは思うが、この曲のことは忘れないだろうと思う。

ちなみに、この日の田沢投手は4球目かな、、思いきりヒットを被弾して同点にされてしまった。でも、それはどうでも良かった。プロとしてあの空間のあそこに上れる地位を自力で掴んだことだけで、プロとして素晴らしい。

試合を終えてのグリーンモンスター(グラウンドレベルより撮影)


注:あとで調べたらヤンキースの田中投手は「ももクロ」の曲らしい。これも凄いな・・・。

追記:翌日の新聞には「なんであそこで監督は田沢を出すんだよ。クローザーの好調キンブレルを出せばいいんだよ」と書かれていた。田沢批判ではなくて監督批判ではあったのでちょっとホッとしたけれど、田沢選手も今年の成績だとシーズン終盤の個人活躍がキャリア上の正念場になりそうなので頑張って欲しい。

2016年9月19日月曜日

スクールバスが来ない事件 -本編-


(前回からの続き)

新学期の2日目。長男の乗った帰宅バスが、到着予定の時間を1時間過ぎても家の前のバス停に帰ってこない。ちなみに、ポケモンGoをやりながら待っていた。学期の始めでもあるし、30分くらいの遅れはこちらとしても想定の範囲内だがそれにしても遅い。


いくらなんでも1時間遅延はまずいぞ、と、学校のリエゾンオフィスに電話してみる。英語での電話は苦手だが、切迫しているので仕方ない。すると16時前なのに「本日の受付は終了しました」との無情の留守電。さすが職務主義の国。次に、バスの運営会社に電話してみると「子供のバスは何番だ?」というので答えると「今から運転手の電話番号を教えるからそこにかけろ」と言う。これを苦労してメモして(こういう一見、簡単なことでも英語でするのは一苦労なのです)かけてみると「只今、電話に出ることができません」の自動メッセージ。そうこうしているうちにもまだバスは来ない。さらに調べて市の教育委員会の担当部署に電話すると割と真剣に対応してくれて何箇所か電話して調べている感じ。電話口で7分ほど待たされた結果「バスが故障しているから遅れている。向かっているからそこで待っていろ」とのこと。というか、配慮なく早口に話されて正確に聞き取れないため、大体そんな感じのことを言っていた、という理解。


近所の緑道


延々待たされ、予定時間から約100分後、いつものバスがうちの前に帰ってきた。「なんだよ、故障してるんじゃないのかよ!」と思った。そしてバスの後ろの方からそのバスを追いかけてレッドソックスのキャップを被ったおじさんが走ってくる。


バスが到着して、子どが降りてきた。さいわいに特に子どもに異常はなさそう。しかしこの事態、こちらもさすがにスルーするわけにはいかないので、バスに乗り込んで運転手に「どういうことなんだ!」と聞いたら、アフリカ訛りのきつい運転手さん(今期からの新人)は「GPSが壊れた、俺は悪くない、Everything is All right.」というばかり。"All rightじゃないんだよ"とは思いつつも、こういう立場の人を吊るし上げるのは個人的な信条に反するのでここは引いて後で運行本部に苦情を言おう、とバスから降りた。すると、バスの後ろから走ってきたレッドソックスの帽子のおじさんが入れ違いにバスに入っていった。

後で子供に聞いたところによると「車両故障は無かった。なんかやたらとルートを遠回りした。途中から謎の子供が乗ってきて、途中で降りた。追いかけてきたおじさんは、同様に待たされていた前のバス停の子供の親。この人はキレて文句を言うために走ってバスを追いかけてきた」と言う。


緑道の先にあるSpy Pond 

今回は笑い話で済んだから良いようなものの・・、こんな騒動も踏まえて生活してるのがアメリカの皆さんなのかな、という話。他にもこのブログには書いていない、日本では考えられない"大雑把" "グダグダ"な事件が時々発生している。

追記:翌週から、このアフリカンアメリカンの運転手は交代になってしまったようだ。(ドライバーが前任の中南米系の方に戻った。)非正規雇用だったと思うのでちょっと複雑な気がするが、そんなことでセンチメンタルになっていてはこちらもやっていられないのが、アメリカ社会であるのかもしれない。

2016年9月17日土曜日

スクールバスが来ない事件 -イントロ-


今住んでいるここケンブリッジ市は、公立小学校への通学にスクールバスが完備されている。これは「居住地域」と「学校」を対応させないため、さらにいうと、生徒の社会経済的(socio-economical)背景のダイバーシティを学校間でバランスさせるため、と聞いた。こういう「介入的」なガバメントはアメリカの中でも珍しい、という話も大学関係の方が話していたから多分本当だろう。バスの運行は、民間へのアウトソーシングがされており、学校そのものが運営しているわけではない。

このバス通学には色々悩まされる。こちらの方が書いているBlogやSNSによるとウチだけではないようだ。

予定時刻からの遅延は仕方ないにしても、学校とバス運営会社の間の連絡が雑なようで、頼んでいるのにこなかったり、頼んでいないのに来たりということもある。早く来た上にいなくても無視して発車、なども時々ある。日本的な「几帳面で真面目な」感覚では考えられない。僕などは、日本の中でも「しっかり運営」で知られるインフラ企業のグループに関与しているから、この雑さには驚きの連続だ。ピリピリしても仕方ないので、郷に入っては郷に従うしかない、とは思ってる。

ちなみに、軌道に乗っている時はそれほどひどくないが「期の変わり目」「休み」などの特別期間などになると運営クオリティが明らかに下がる傾向がある。どうやら、ここのシステムは、日本のように「出だしからキッチリやる」というようなことが苦手なようだ。小難しくいうと、そのような特殊なトランジション期間を完璧にするために必要なコストは放棄しており、その間の多少の混乱は仕方ない、と社会全体が割り切っているような気がする。

などと、僕のしょうもない社会評論を開陳するよりも、次回の記事で、我が家も真っ只中にあった具体的な「新学期のスクールバス騒動」を紹介してみたい(続く)



追記:ここの市でも走っているこのスクールバスは、これまで見てきた色んなアメリカ映画を思い起こさせてくれる。最初にこのバスを見たときには「うわ、本当に(映画で見ていた)これが走ってる」と思ったもの。印象的なのはなんといっても The Dark Knight(2008) 冒頭の銀行強盗シーン。これを映画館(今はなき新宿のミラノ座)で見たことが僕の映画館通い趣味の出発点になった

2016年9月14日水曜日

映画 "KUBO and the Two Strings" 制作チームの心意気に応えたい


こちらでテレビを見ていた時か何かにCMを見て「何これ、日本ぽい映画じゃん!」と偶然知った "Kubo and the Two Strings"という8月全米公開の映画。

見た人たちの間での評判がとても良いというWEB記事が多かったこともあり、映画館へ行ってきた。基本的には、子供が楽しめるアクション映画なので、ストーリーは比較的簡単。字幕なしでも結構分かるのが助かる。




話としては、完全に日本(中世)を舞台にしており、アメリカの製作チームが作っているにも関わらず、変な違和感を感じるところがほとんどない。「よく研究して作ってくれているなぁ」と素直に感心した。話の背景に「お盆」があるのだけれど、よく分かってくれている。強いて言うと、ここまで日本を研究しているのに、主人公の名前がなんでKuboなのか(この呼称にはあまりストーリー上に意味が感じられない)なぁというくらい。最初「三味線なのにTwo Stringsとは、やっぱりアメリカ人は分かってねぇな」と思ったのだが、映画を見るとそこには意味が込められており、この造り手はそういうレベルのミスをするような人達ではないのだと感服した。

ストーリーもさることながら、ビジュアルがとても美しい作品。ぜひ日本でも公開して大画面で上映してほしいのだが、現時点では日本での公開は決まっていないらしい。ビジネス面での事情(興行収入が見込めるかという問題)だろう。詳細はこの記事あたりを参照。声優でマシュー・マコノヒーとシャーリーズ・セロンを起用しているくらいだから、そもそもは決してニッチなマニア狙いの作品ではないはずなのだが、最近、大作であっても日本では公開されない例も珍しくないので心配だ。主人公の名前ごと変えるとかして、マーケティングを頑張ってください。

というか、2016年現在、映画ビジネスの立場で考えれば、異国を題材にするならお財布の圧倒的に大きい「中国」を使うのがリアリズムとしては正しい。(実際に最近はこの風潮は顕著だ)そんな中「敢えて」日本を題材にしてくれたクリエイター達の心意気に日本市場が応えてあげてほしいなぁ、と思う。

市内のショッピングセンターの看板より


ちなみに、マシュー・マコノヒー(最近、売れまくりですね)が演じている作品内のキャラクターはなんとなく本人の雰囲気あり。そして、シャーリーズ・セロンのキャラクターは、声といい今回の作品内での役割付けといい「マッド・マックス 怒りのデスロード」のフュリオサに感じられて仕方なかった。

ところで、秋になり映画界のシーズンが本格化してきた。近所の映画館に並ぶ今後の公開作宣伝ポスターを見るだけでも焦ってくるくらい、興味を引かれる作品がこれから次々に登場してくる。滞米前半は意図的に映画活動を抑え気味にしてきたが、これからはどんどん見ていきたい。とりあえず、マーチン・スコセッシ監督の「沈黙」(遠藤周作)が最大の楽しみ。


追記:本作のエンディングに流れるビートルズの「While my guiter gentlly weeps」の三味線バージョンがアレンジが素晴らしい上に、歌詞と内容のシンクロもあり最高過ぎる。これはアカデミー賞を狙えるるレベルと感じる。 


2016年9月12日月曜日

Baseball 第3章 シティオールスター戦 -野球の季節、野球クエストの終わり-


さて、いよいよシティ・オールスター戦の日がやってきた。どんな大会なのかさっぱり分からないながらも、いつも練習していた最寄りのグラウンドが会場だったのでその点では安心だ。到着すると、父母による売店でホットドックやハンバーガーを売っていてちょっとしたお祭りムードだ。これまで半年間に出会った親御さんやコーチなどがたくさん来ている。伝統のある地域行事なのだろう。こういうところに参加できただけでありがたい。たまたま、子供がいて、野球をやっていたからこその事であり、自分自身の成果でもなんでもないのだが、とにかくありがたいことだ。

売店です。ホットドック1.5ドル。(味の問題ではく)最高にうまい。



「ユニフォームは試合当日に配る」という事だったが、グラウンドに行ったらコーチがいて先着順、みたいに適当に一つくれた。という事で、今回の背番号も「気まぐれ」に決まった。日本のチームだとユニフォームの授与式的なものもやっていたし、小学生でも背番号にはある程度重みがあったが、ここではそのあたりとてもライト(light)である。「チームが先に存在して、メンバーがそれを背負う」というような感覚はあまりなく、あくまで「個人」なのだろう。そういえば、シーズンを通じてコーチ陣は子供と同じユニフォームを(たとえ公式戦であっても)着ない、というのもアメリカと日本の違いだ。こういうところにも、何か両国の根っこの違いが反映されているのだろう。

試合開始時にちょっと驚いたのは一試合ごとに律儀に「国家斉唱(正確に言うとアメリカ・ザ・ビューティフル、の方)」と「911の犠牲者への黙祷」をした事(試合は9月10日だった)である。司会的なことをしていた審判委員みたいなおじさんがマイクでいきなり歌を独唱したのには更に驚いた。他のことは適当でもこの辺のことを揺るがせにしないというのはここの文化のだろう。

今日ばかりは審判も本物。


長男も、サードで6番で先発させてもらった。試合の方では、最終盤にうちの長男のプレーをめぐり審判の判定が覆えるという予想外の事があり、これを通じてやっぱり「野球」と「ベースボールは違う」のね、と思ったり、コーチやチームメイトの父母の皆さんから子供への熱い激励をもらったりもしたのだけれど、野球の細かい話になるので詳細はここでは控える。帰国して野球関係のお知り合いの方にお会いしたときにでもお話したい。



結局、こちらチームの練習不足がたたってか、一回戦で敗北となってしまったが、親子共々本当に良い経験をさせてもらった。

思えば、半年前には何もわからずにここに来て近所を歩いて野球少年を探すところから始めたのにも関わらず、結局オールスター戦にまで出ることができた。小さなリーグではあるけれど、日本の野球をアピールすることも多少は出来たかなと思う。リーグのコミュニティには本当に暖かく迎えてもらった。中でも、当方ジャパンとは文化がかなり違うと思われるイージーゴーイングなラテン系のファミリーからすごく応援してもらったことが印象に残る。(真逆なだけに、憧れがあるのかなぁ、とか。逆にこちらもラテン系のノリを羨ましく思う部分も多いし。)


戦い終わってタッチ



野球についてはまたここで書くかもしれないが、リーグ/試合としては一旦これで終わり。秋冬のスポーツを考えなければならない。

2016年9月9日金曜日

Baseball 第3章 シティオールスター戦  -熱血コーチとの練習-


サマーリーグも終わって、親としての少年野球サポートも一段落かと思っていたら、前に入っていたドジャースのコーチ Hugh 氏から一通のEメールが届いた。


Looks like your american baseball career might not be over yet - XXX has been invited to participate in the All-Star game this fall.

ありがたいことに、長男が秋のオールスター戦のメンバーに監督推薦で選ばれたようだ。これはもちろん本人の成果だろう。同時に、日本の少年野球の基礎トレーニングの高さを示すものだと思う。日本で1年間しっかり稽古をつけてもらっていたので、こちらでは技術で苦労することはなかった。

8月頭から一ヶ月後の本番(トーナメントで他の地域と戦う)に向けて週に二回の練習をしていくそうだ。このチームの指揮は今までとはまた別のコーチがとる。

練習が始まると、推薦されている子供達だけあって、皆、そこそこしっかりしている。メンバーは直前にあった希望者のサマーリーグとだいぶ重複していた。(細かく言うと、希望者リーグは参加費徴収、オールスターは参加費無し。こういう差異は経済格差の大きいこの国では意外に重要なポイント)

コーチの方も、オールスターに相応しく?アメリカにしては割と「厳しめ」の二人だ。ノックをしながら子供に大きな声で何事か叫んで(悲しいかな、具体的にリスニングキャッチできず・・)いる。隣に座って一緒に練習を見ていたアメリカ人ママが「そんなに大声出さなくてもいいのにね〜」なんて言っているが、僕からすると、これで日本の普通のコーチと同じかやや優しいくらいの印象だ。「日本じゃ、これくらいは普通ですよ」とはお伝えしておいた。

しかし、8月の練習には問題が…。


コーチの中でも一番真面目なリックコーチ、お世話になりました


子供の練習参加者が少ないのだ。12人ちょっとが選ばれているのだが、毎回5名くらいしか来ていない。皆、旅行に行ったりしているのだろう。コーチ陣はずっと(まあ、夏だし仕方ないか、という感じで)スルーしていたが、試合が近づいてきたある日の夜、コーチ(チャック・ノリスとドゥンガを足して二で割ったような迫力の方)から全家庭へ長文のEメールが。文面から怒りが伝わって来る。

要約すると「お前ら、地域を代表して出るというのに、この体たらくはなんだ!言い訳は聞きたくない。今週の練習には絶対来い!来れない場合は理由を俺にメールすること」という、ただまあ、僕に言わせるとこのコーチも毎回来ていたわけではないのだが。

すると、分かりやすく翌日から子供達の練習への出席率は倍増。アメリカ人、こういうところはシンプルだ。

この一連の展開、コツコツと出席している日本人としては「なんだかな〜」と思わないでもないが、「外国人は途中はスローでも締め切り直前の爆発力がすごい」と、居酒屋話で聞くような話を実際に見た気がしないでもない。


そしていよいよ、オールスター戦がやってくる。(多分、次回)

コーチからのメールに焦って?多数練習に駆けつけたお父さん軍団


追記:少年野球関連で「長文」のEメールを受け取るのはすごく珍しいことなのでインパクトがあった。コーチからのメールにはなぜ自分がこう訴えるかの論理展開がちゃんとあった。

追記2:こんな流れからも、「時間通りに動く」&「気分に左右されずしっかりコツコツ取り組む」という日本人なら比較的普通のこと、が世界の中でみると大きなアドバンテージなんだなぁ、と思う。

2016年9月6日火曜日

ユダヤ人向けローカル紙を読んだら賃金格差問題の情報



ボストン郊外のとある住宅街で子供を習い事に預けて、ふと一人の時間が出来たある日の昼下がり。

メキシカンのファーストフードで一人ブリトー(注:やたら美味い)を食べていたら、カウンターの横に地元ユダヤ系コミュニティ向けと思われる、”Newton Jewish Journal” という新聞が置いてあった。

一瞬逡巡したものの、「こんなマニアックな新聞、ここで出会わなければ一生読むこともなかろう」と、暇つぶしがてら読んでみることにした。なお、自分は宗教関係の話には昔から興味があり、30代には勉強する機会も多かったので、普通の人以上には基礎知識がある。(中でも、ユダヤ教には興味を持っている)

まず、タイトルの横から味わう(写真参照)。"TAMMUZ 5776"これはユダヤ暦のことだろうなと思って調べてみるとその通り。TAMMUZは月の名前、5776は、ユダヤ紀元での年号だ。民族にとって年号は重要、と船戸与一先生の傑作「砂のクロニクル」から学んだ。


トップ記事の写真。イスラエルでアメリカからの帰還?を歓迎する人々。



Jewish Journal という大きな非営利新聞があり、その傘下の地域誌の一つとして、初めて本号が発行されたらしい。(新聞自体は二週に一回の発行、とある)

記念すべき創刊号のメインの記事は、この地域から家族ぐるみ(ペット込み)で、イスラエルに移住<いわゆるI(アイ)ターン>する家族の話。出発する空港への見送りと先方での出迎えの模様、不安もあるけど頑張ろう!的なまとめ方。少し調べたところ、"Aliyah"という「ディアスポラからの帰国運動」があるようだ。

社説としては、パレスチナ問題、選挙に絡めて、民主党も共和党もイスラエルの利益をもっと考えてくれ無いか(イスラエルを"占領者"などという誤った認識は・・・云々)、という話。

読者投稿の欄には、アメリカで育った22歳の女性が21歳で初めてイスラエルに行ってアイデンティティ覚醒しました、という投稿。加えて、最近編集長が交代したらしく、その事についての賛否両論の投稿(かなり手厳しいものも含めて)があった。繊細で政治的な話題が多そうな新聞かつ熱心な読者が多いだろうから、編集長も大変なのだろうな、と想像する。







全体的に、宗教を背景にした機関紙なので、日本のその手の新聞(特に信仰も無いのになぜかいろいろと読んだことがある僕・・)と似た雰囲気は感じた。

さて、一つ収穫だった記事は、当地マサチューセッツ州のユダヤ系女性(この州のトレジャラー、財務長官のようなものか)の活躍を描いた記事。この女性は男女の賃金格差を解消するために、熱心に活動しているという。便利なWEBサイトも作って全国的に注目されているらしい。

賃金といえば、人事コンサルタントとしての僕の専門テーマ。前から感じてはいたが、アメリカのイコールペイ運動の背景には、(ユダヤだけではないが)マイノリティによる格差是正運動の流れがある。このあたりは、日本からは死角になりがちなところだ。(こういうことを調べても実務にはあまり役に立たないながらも)滞在中に専門的にもう少し調べておきたい。この記事は結構いい情報をくれた。


僕はもともと「活字ならなんでも」という雑食系な人間だが、あらためて「なんでも読んでみるものだな」と思った。 

2016年9月2日金曜日

娘(5歳)、大学での発達心理学実験に被験者として参加、にアテンドする


夏休みのある日、「時間潰し」と「研究活動への貢献」を兼ねて、ハーバード大学で行わている発達心理学の実験へ娘を協力させるために連れて行った。

この実験を知ったきっかけは、近所のお祭りで学生がブースを出して勧誘していたことだ。意外に「食品スーパーの前の掲示板のチラシ」とか「お祭りでのブース」などの(リアルな)場所で面白い情報を見つけることが多い。こちらでは、ITは日本よりもよく活用されているという認識もあるのだけれど、地域の面白情報はリアルの張り紙が良い情報源になっている。このため、主夫としての買い出しの際、掲示板をチェックすることをルーチンにしている。実際、結構な回転率で情報が変わっている。イベントの内容もなかなかプログレッシブなものが多く、見ているだけで興味深い。

こういうイベントに自分から首を突っ込んでいくかどうかが、海外駐在ライフの中身に大きく影響するように思う。そして、それができるかどうかの大部分はやはり英語力に掛かっているのが現実だ。もし、そこが弱かったら、自然と引きこもり的な暮らしに傾いてしまうだろう。






話がそれてしまった。僕も偉そうなことを言える英語力ではないので、申し込みのやりとりには(電話を避けて)電子メールを使った。子供も英語を良くわからない状態なので、その事が実験に影響しないか心配で確認したところ「今回は抽象的な時間概念についての実験で、iPadのゲームを使うものだから大丈夫」とのことなので参加してみることにした。

実験自体は、特段に予想外のこともなく、ある意味では粛々と終わった。主催は認知科学系の実験室で、担当の若い院生さん達は、子供の扱いに慣れていた。担当院生の英語のインストラクションに基づき、淡々とタスクをこなす自分の娘を別室のモニターカメラから眺める、というのは文芸映画内のワンシーンのような "weird" な(奇妙な)経験だった。



三つほど気づいたことや意外だったことを残しておきたい。

一つは、僕自身もリサーチャー的な面を持っているので、その視点で興味ぶかかったこと。調査の前提となるフェイスシートの質問構成だ。親の学歴、民族、宗教を申告する欄が(ちなみに、家庭で一つではなく、父母別にそれぞれの解答欄が)あった。これを分析にどう使うのか興味がある。参考にすべく、調査票のこのページはこっそりと写真に撮らせてもらった。

一つは、この研究室の過去の卒業生の写真つきボードがあったのだけれど、とにかく Alumniは「中国系」の方が多い。アジア系は理系が強いとは知っていたが、数十年したら中国からノーベル賞が出てくるであろう。それを「予想外」とは言えない、と分かった。



もう一つは、子供にお土産をたくさんくれたこと。さすがハーバードというべきか、結構な予算を確保して実験をしているのだろう。シール、ぬいぐるみ、お小遣い、まで頂いた。




この実験が活かされた論文が出たら教えてくれるとのことなので、(理解できるかどうかわからないが)読んでみたい。自分の娘が実験に参加しているとなれば、多分、真剣に読むと思う。