2016年9月6日火曜日

ユダヤ人向けローカル紙を読んだら賃金格差問題の情報



ボストン郊外のとある住宅街で子供を習い事に預けて、ふと一人の時間が出来たある日の昼下がり。

メキシカンのファーストフードで一人ブリトー(注:やたら美味い)を食べていたら、カウンターの横に地元ユダヤ系コミュニティ向けと思われる、”Newton Jewish Journal” という新聞が置いてあった。

一瞬逡巡したものの、「こんなマニアックな新聞、ここで出会わなければ一生読むこともなかろう」と、暇つぶしがてら読んでみることにした。なお、自分は宗教関係の話には昔から興味があり、30代には勉強する機会も多かったので、普通の人以上には基礎知識がある。(中でも、ユダヤ教には興味を持っている)

まず、タイトルの横から味わう(写真参照)。"TAMMUZ 5776"これはユダヤ暦のことだろうなと思って調べてみるとその通り。TAMMUZは月の名前、5776は、ユダヤ紀元での年号だ。民族にとって年号は重要、と船戸与一先生の傑作「砂のクロニクル」から学んだ。


トップ記事の写真。イスラエルでアメリカからの帰還?を歓迎する人々。



Jewish Journal という大きな非営利新聞があり、その傘下の地域誌の一つとして、初めて本号が発行されたらしい。(新聞自体は二週に一回の発行、とある)

記念すべき創刊号のメインの記事は、この地域から家族ぐるみ(ペット込み)で、イスラエルに移住<いわゆるI(アイ)ターン>する家族の話。出発する空港への見送りと先方での出迎えの模様、不安もあるけど頑張ろう!的なまとめ方。少し調べたところ、"Aliyah"という「ディアスポラからの帰国運動」があるようだ。

社説としては、パレスチナ問題、選挙に絡めて、民主党も共和党もイスラエルの利益をもっと考えてくれ無いか(イスラエルを"占領者"などという誤った認識は・・・云々)、という話。

読者投稿の欄には、アメリカで育った22歳の女性が21歳で初めてイスラエルに行ってアイデンティティ覚醒しました、という投稿。加えて、最近編集長が交代したらしく、その事についての賛否両論の投稿(かなり手厳しいものも含めて)があった。繊細で政治的な話題が多そうな新聞かつ熱心な読者が多いだろうから、編集長も大変なのだろうな、と想像する。







全体的に、宗教を背景にした機関紙なので、日本のその手の新聞(特に信仰も無いのになぜかいろいろと読んだことがある僕・・)と似た雰囲気は感じた。

さて、一つ収穫だった記事は、当地マサチューセッツ州のユダヤ系女性(この州のトレジャラー、財務長官のようなものか)の活躍を描いた記事。この女性は男女の賃金格差を解消するために、熱心に活動しているという。便利なWEBサイトも作って全国的に注目されているらしい。

賃金といえば、人事コンサルタントとしての僕の専門テーマ。前から感じてはいたが、アメリカのイコールペイ運動の背景には、(ユダヤだけではないが)マイノリティによる格差是正運動の流れがある。このあたりは、日本からは死角になりがちなところだ。(こういうことを調べても実務にはあまり役に立たないながらも)滞在中に専門的にもう少し調べておきたい。この記事は結構いい情報をくれた。


僕はもともと「活字ならなんでも」という雑食系な人間だが、あらためて「なんでも読んでみるものだな」と思った。 

0 件のコメント:

コメントを投稿