2016年6月16日木曜日

おそらく今季の地元リーグ唯一の日本人選手だったけれど「良い意味で」あっさりとした扱い


ここのリーグは、本当に"ローカル"だ。リーグ全体には約200人近くの子が所属しているらしいが、見る限り今年は日本人は我が家だけだ。考えみるとなかなか独特な環境だ。これには幾つかの原因が考えられる。第一に、地域自体に日本人が少ない。ボストン圏内には日本人が比較的多いエリアはあるとは聞くものの、今の住居がある地域にはそれほど日本人が居ない。第二に、主な活動が平日の夕方であり、かつ、送り迎えや練習中のケアが必要なので「父」がそこに絡めないと参加のハードルが高い、という事も考えられる。日本人女性(母親)だけでこの環境に絡むのはかなり難しいだろう。とにかく今年のこのリーグには日本人はうちだけの模様。更に言うとうちの長男の他にアジア系は別のチームで1人しか見たことがない。ボストンでも中国人は一大勢力ながら、野球の世界には居ない。野球のコミュニティは、いわゆるアメリカ人と中南米系アメリカ人に占められている。特に後者が多い。町では時々見かけるムスリムやインド系の姿もこのコミュニティにはいない。




と、いうことで、我が家は思い切り「マイノリティ」というわけなのだが、不思議と「アウェー」感は感じなかった。アメリカの懐の深いところというかなんというか「カラッとして」いて「あっさり」と受け入れてくれるのだ。何というか、あまり「詮索」してこない。「なぜここに来て、いつまでいるのか」「お父さん、いつも練習に来てるけど何で?(無職なの?)」などとはあまり聞いてこない。雑談はある程度するけれど、何というか「踏み込んで」はこない。「子ども本人が英語が分からない」ということにしても、「そうか。別にいいや」くらいの感じの扱いだ。ちなみに、チームメイトに一人、スペイン語しか分からない子もいた。このあたりの「カラっと乾いた感」は、日本人の中に外国人を受け入れる際のとの違いをすごく感じた。

さて、長男について言えば、日本でしっかり基礎を教わっていたおかげでこちらの同学年の子よりは上手い、ということが傍目にも明らかだった。すると「じゃあ、Youはピッチャーだな("You, on the mound!")」と、いきなり開幕投手に抜擢してくれた。その時にも「日本ではどこのポジション守っていた?」とか「何年間の経験があるの?」などを細かく確認することはなかった。加えて、「最初の何試合かは外野あたりで様子を見てから…」的なステップも無かったことにも、割と驚いた。よく言えば「フラット」、悪く言えれば「雑」だ。この抜擢のせいで、ピッチャーとしての登板機会が減った子の親御さんも、内心ではどう思っているのかは分からないが、とても普通に応援してくれる。「うちの子は、前から頑張ってたのに、いきなりやって来た謎の日本人が突然ピッチャーなんて!」的なオーラは感じなかった。このあたりが、日本的な何かと「前さばき」「調和」「既存の人の気持ち」に価値を置く運営、とは大分違う。人材の「流動性」で成り立っている国の一端を垣間見れた気がした。

 野球の試合をしているところに、アイスの販売車が来る。ちょっとした祝祭。


加えて、「あっさり」の裏側には、イチローの活躍をめぐるニュースを見ていて感じたことで、直接聞いたわけではないけれど、本家本元の野球王国であるアメリカ人は「日本という国の野球はどんな感じなんだ?」という興味をそもそもあまり持っていない気配も感じた。「日本では軟式という別のボールを使っていて…」とコーチに話をしたことがあるが、実はそれほど興味はなさそうだった。そういう意味での興味は薄い(=1)ながらも、上手そうな選手が来たらあっさり抜擢してやらせてみる(=2)、という1と2のコンビネーションが「アメリカらしい」と言えるのかもしれない。なお、中南米系の人は「日本の練習はどうなんだ?」的な興味を持っていた気がする。

少し、野球の話ばかりを書き過ぎた。面白い話はまだある、というか一番面白いあたりをまだ書いていないのだが。。。

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