2016年6月10日金曜日

ローカル少年野球をフィールドワークする -2- リーグ概要の続きとコーチ


リーグのホームページによると、僕らが所属した地域リーグの創立は1953年とあり、マサチューセッツでも最も古いレベルの伝統がある。「リトルリーグは第二次世界大戦後、アメリカ中に"燎原の火のごとく"広がった」とのことだ。リーグは市の公式バックアップも受けている。

ミッションは次の通り。「野球の試合を楽しみ・学ぶ中で、少年少女にチームワーク、自己信頼、規律、ハードワーク、そして楽しむことを教える」

リーグは、「リーグ」として活動している感が強い。何が言いたいかというと、「チーム」が先にありきで、独立したチームが集まってリーグを構成しているということではなく、この地域リーグ(特に学年別リーグ)全体が一つの枠になっているということだ。チームやコーチはあくまで試合をするために便宜的に分かれている、という印象だった。少なくとも低学年でやっているマイナーリーグはそんな感じ(高学年リーグになるとまた違うのかもしれない)だった。このため、「チーム同士でガチンコで争おう」という気概はやや弱めで、リーグ全体として「野球を楽しくプレイする場を提供しよう」という雰囲気を感じた。



リーグには約40名のボランティアコーチが年間100-150時間貢献している。こう具体的に書くことができるのは、資料に明記されているからだ。明記は、コミュニティ維持のためのボランティア活動として寄付を集めるためのアカウンタビリティでもあるのだろう。僕の知る日本の少年野球は年末年始以外は通年で活動しているので、活動時間としては日本の指導者の方がはるかに長いだろう。しかし、こう言う風に数字で明記している例はあまり見たことがない。僕は「黙って貢献」する日本の美徳は好きだけれど、見える化はある程度してもいい気はした。

「寄付を集めている」と書いたが、リーグとして、スポンサーを一口500ドルくらいで集めており、企業やお店が協賛している。アメリカに根付く寄付の文化なのだろう。スポンサーはWEBページ等々で紹介されると同時に、各チームのユニフォーム(と言ってもシンプルなTシャツ一枚)の背中に名前が入る。チームが12くらいあるので、それぞれ別のスポンサー名が割り当てられていた。あくまでリーグへのスポンサードであって個別チームのスポンサーではない。地方議員などもスポンサーになっているので、息子のチームのユニフォームの背中には背番号の上にとある地元議員の名前らしきものがある。これは日本だと公職選挙法違反ではなかろうか?わかりません。ちなみに、我々は参加費用としては75ドルをオンラインでPayPalで(現金でも小切手でもOK)支払った。この費用は主にボール代などに充当される。




一つのチームにはコーチが4〜5名いる。皆さんボランティアだから、来られない時もあり、融通し合っている。息子のチームには4名のコーチがいた。ジョー、ヒュー、ミッシェル(⇦女性)、そして名前のわからない「長老」。コーチは、当然地元民で、今は造園会社に勤めたり自営業、といった人が多い。ご出身と思しき地元高校のウィンドブレーカーを今も着ていたりしていて、このあたりは、日本と似ています。みなさん、子供好き、地元好きのあたたかい人だった。

リーグの実質的な活動期間は4月から6月末のほぼ3ヶ月間だ。日本では通年の活動だったので短い気もしたのだが、実際にここで暮らしてみると、気候的に4月の前は無理だとわかった。実際、寒すぎる。メジャーが開幕した段階の時期でもボストンは下手すると雪が降りそうなくらいで、 RES SOXが本拠地フェンウェイパークを使うのは4月下旬からだ。加えて、夏はいきなり暑くなる。とはいえ、9月くらいまでは活動できると思うのだけれど、そこまでして野球に打ち込む、というノリはない。実質3ヶ月しか使わないのに、こんなに立派な球場があるのか!と、改めて思うが、そこには野球というスポーツのアメリカの歴史における特別な地位もあるのだろう。

長男のチームメイトでプエルトリコから来たという野球好きファミリーのお母さんが「ここは活動期間が短いよ!うちのふるさとでは一年中やってるよ!やる気が足りないよ。これじゃ上手くならないよ!」と話していた。日本人としても、気持ちは多少分かる。

まだまだ続く。

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