会場設営中のハーバード大卒業式のメイン会場 |
2016年も5月頭あたりから卒業式シーズンが本格化し、Webニュースのサイトに色々なコメンスメントスピーチのニュースが出てきた。自分が見ている範囲では今年のトレンドは明確で、「暗にトランプ候補を批判する」というもの。勝手に要約すると「君たち、大学で勉強したのは、煽動者から民主主義を守るためだよね」というメッセージだ。直接名指しでの批判はさすがにないように思うが、とにかく2016年はこういう内容が多い。オバマ大統領のこのロトガース大学でのスピーチはアメリカのニュースで結構取り上げられていた。このトレンドの中で個人的に名スピーチだなと思ったのはブルームバーグ(アントレプレナーであり政治家)のミシガン大学でのスピーチだ。ブルームバーグといえば共和党系だとの記憶があったが、こういう話をするとはすごいなぁと感心した。興味のある方はリンク先でお読みください。
こちらは行けなかったけどTufts。旗はCommencementとなっています。 |
さて、自分もせっかくこの場所に住むことができたのだから、卒業式も体験してみたい、と思うとやはりハーバードと、MITが候補になる。いろいろと話を聞くと、ハーバードが5月下旬でスピーカーは映画界の巨匠、スピルバーグ監督。MITは6月の上旬で、俳優のマット・デイモンがスピーカーだという。スピーカーが誰かというのは「巡り合わせ」なので(映画ファンとしては)大変ありがたい。特に後者、「マット・デイモンがMITに!」というのは、このブログの初期の記事でも書いた通り、彼の経歴を考えると興奮ものだ。
マット・デイモンは、1:地元ケンブリッジ出身、2:出世作「グッド・ウィル・ハンティング」ではMITの用務員役、3:ライバル校でご近所のハーバードを中退、4:2015年は火星宇宙飛行士役(The Martian)で活躍、とポーカーで言うところの「ロイヤルストレートフラッシュ」的な人選だ。決定時は、アメリカ芸能界的にも結構注目されたらしい。いくつか新聞を見てみたところ、MITは通常、科学者か政治家を招いており、芸能人は数年ぶりだという。ただし、大学当局は、マット・デイモンの「社会活動家としての側面を評価して」人選したと強調している。そこは名門大学であるから「人気者だから呼びました」とは言えないのだろう。ちなみに、数年前から候補に挙がっていたそうだが、ついに今年選出されたとのことだ。新聞記事での学長のコメントにあった"Son of Cambridge"というところが地元の盛り上がりを表現している。
この時期は盛んに「旗」が掲示される |
一方、ハーバード大学は、スピルバーグ監督ということで、この人の来歴、フィルモグラフィーを考えるとハーバードのリベラルな校風とマッチする。加えて、やはりマット・デイモンよりも「総合」「大御所」感あり、これはこれで「総合大学」「Top of top」的なイメージのハーバードに相応しい気がする。この二人が「プライベート・ライアン」という作品で繋がっているのも何かの縁かもしれない。
ただし、こういう人選を嘆く人もアカデミック界にはいるかもしれないとは思った。邪推ながら、二つの大学とも経営上の要請から「大衆」「メディア」にアピールする意味で、分かりやすい記号性のあるゲストを選んでいるところもあるのかな、と、ビジネス人の端くれとしては思う。
さて、次回、それぞれの式への「勝手に参画記」へと続きます。
こちらはケネディスクールの準備中会場。このようにキャンパスごとに野外ステージが設営される。 |
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