2016年6月9日木曜日

ローカル少年野球をフィールドワークする -1- リーグと設備


子供の学校方面の話、英語の話、勉強の話、家事の話など、ここで紹介する話の候補は色々あるのだけれど、あれよあれよという間に野球の地域リーグが終わってしまうので、野球の話を

最初におことわりだが、あくまで、この地域で僕が体験したチームの話が中心なので「アメリカのローカル少年野球は全てこうだよ」ということでは無いことを強調したい。別の地域の方で、アメリカの少年野球を長く経験した上で詳しくブログを書かれている方も複数いらっしゃるので、調査目的の方はそちらもご覧になってください。(たとえば、最初何もわからなかった時はこのブログを参考にさせていただきました)

まずはリーグの概要から。ケンブリッジ(人口10万ちょっと)のリトルリーグは地域別に四つに分かれている。近隣の小さな市だと、市で一つのリーグであることもあるようだ。長男が入ったリーグはその四つの地域リーグのうちの一つだ。この地域別リーグ内は、さらに年齢別で「ファーム(5〜10才)」「マイナー(7〜12才)」「メジャー(10〜12才)」の三つの部に分かれている。長男が所属したマイナーリーグは5チーム、メジャーリーグは4チーム編成されていた。1チーム大体13名くらい。だいたい、近所で自転車か歩いてフィールドに来られるくらいの学区みたいなご近所さんで構成されている感じだ。(ちなみにケンブリッジ市では意図的に小学校の学区と居住地域は一致させないようにしている。この点、社会政策的には興味深い話があるらしいのだがこれもまた別の機会に)

さらに、これは日本からすると驚くべきことだが、それぞれのリーグごとに専用の天然芝のホームフィールドがある。我らがリーグにも二つの球場があり、それぞれマイナーとメジャーが使っている。フェンスもしっかりしており、スタンドまである。このあたりは、日本の野球人が見たら「ため息」でしょう。なお、フェンスについては硬式ボールを使っているのでしっかりしていないと実際に危険だ。





フィールドは綺麗に整備されているが、こちらに来て1ヶ月目あたりはこれを誰がどうやって維持しているのかが僕にとっては謎だった。のちに、市の税金で専門の業者が行っているということが分かった。(ここはその財源余裕がある市だ、ということなのだとも思うが、これも継続調査したい。というか、自分たちはろくに税金も納めずこんなところ使わせていただいて申し訳なくなる)

一度にコーチに「この野球場はすごいですよ。日本では考えられない」と話したら「まあ、ここはそれほど良くはないけど、悪くはないかな〜。もうちょっと芝を短く綺麗に刈ってあげたいけど」と謙遜ぎみにおっしゃった。アメリカの男性は「芝」に命をかけている、と映画ではよく見たが実際、そんな感じだ。

 芝の中に散水栓が埋まっていて朝自動的に水が撒かれると知った時は驚いた

フィールドに絡めて設備と道具について言うと、こちらのリーグでは、日々の練習で子供がフィールドの準備と片付けを手伝う、という習慣はないようだ。日本では、練習時の「準備」と「片付け」は少年野球指導の欠くべからざる一要素になっている。日本の少年野球の子供達は「君らが練習するグランドを自分で整備するのは当たり前だ」と教わっているだろう。そういう感覚はこちらには全く無い。また、当然ながら練習前後に「グランドに礼」をするということも無ければ「道具を大事にする」という感覚も希薄だ。僕は日本のあり方に親しんでいるので正直違和感はあったが、優劣ではなく単に「文化の違い」として受け止めている。

ただし、少し企業の人事に寄せて考えると、こうやって育ってきた人達に対して、大人になって会社に入ってから「皆で職場を自主的に整理整頓しよう」などと言うのはそもそもが難しいな、とは思う。

最年少のファームリーグ。Tボールです。

野球のことばかり書いてると「お前野球しに来てるのか」と言われそうですが、記録がてら野球の話(コーチや親や子どもたち、試合運びや風土の違いなど)少し続けます。

それにしても。

僕ら親子だけでも毎回の練習後、グランドに練習前後に「脱帽して礼」をしたい気持ちはある(この気持ちと行為こそ日本人らしいと思う)のだが、妙な空気感を作るのも本意ではないので、心の中で済ませている。堂々と民族服で歩いてる人も多いことを考えれば、この日和り方もまた日本人らしいのかもしれないが。

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