2016年6月12日日曜日

ローカル少年野球をフィールドワークする -3- 低学年の部の試合



マイナーリーグ(低学年)の部は、5チームで総当たりを二回行う。試合は平日の夕方に週2回行われる。17時半開始で、だいたい19時半くらいまで。緯度が高い&サマータイムなので6月は夜20時30分くらいまで日がある。野球の試合も20時前までは明るさに支障はない。試合の前には少しだけ練習をするが、日本の少年野球と比べたら、かなりゆるい感じだ。基本的には「練習をしてチームを鍛えよう」という気迫はあまり無い。もちろん、コーチは未熟な子に色々教えてくれる温かさはあるが、チーム全体の底上げをしよう、試合に勝つためにココを鍛えよう、というような動きはほとんど無かった。ボールを取るor投げるの基本姿勢を教えよう、ということは、日本ではかなり重視してくれていたけれど、こちらはそれもほとんど無かった。結果的に、日本とアメリカ両方の低学年を見た自分の目からすると、低学年の技術レベルは日本の方が確実に高いと思う。

基本、近隣住民だが車で来る人も多い。



低学年の部の試合の主な特別ルールとしては「ランナーの盗塁、リード、振り逃げ、ボークは無し」「5点入ったらアウトにかかわらず交替」「バッターは来てる子全員(11人なら11人全員打席機会あり)」などがある。日本の軟式少年野球だと低学年(小学4年生)でも盗塁、牽制、スクイズまでやっていることと比較すると、こちらの方がかなり初心者向きのルールである。最初は、こちらは選手の技量が高く無いからこのようなルールでしかできない、という面が強いのかな、あるいは、間口を広くするためにこうしているのかな、と思った。ただし、体験してみると大きな違いとして「硬式」のボールを使っているので、小学3年生までにこれらのことをやらせるのは無理&危険だということが背景にあると感じた。とにかく、こちらの低学年は難しいことは抜きにして「ピッチャーはストライクゾーンまで投げられればそれで十分」「バッターは思い切り振れば良い」という風に割り切っていた。

試合については、毎回スコアブックはしっかりつけているが、それほど勝ち負けを気にしている風は無い。人数が足りなければ相手チームから借りる、全く打てる気配の無い子を3番バッターで起用し続ける、好投しているピッチャーもすぐ代えて次の子に投げさせる、などのコーチの采配を面白いなぁと思って見ていた。野球のゲーム的なディテールの例を挙げると「コントロールが定まらない相手ピッチャー」がいた時にバッターに対して「振らずによく見て行け!(というか、フォアボールで塁に出ろ)」という指示はこちらの低学年では全く無かった。明らかなボール球三連続を三球三振してきた子がいてもコーチも親も褒める。これに象徴されるように、とにかく勝ち負けよりも「試合をする」ということを重視している。



比較的ゆるく運営されていた中で、一つ、シビアだったのはピッチャーの投球数制限がリーグの規則に明記され、確実に管理されていたことだ。1日最大75球まで、1週間で100球まで、となっており、インターバルの日数も細かく決まっていた。これを確実にするため、試合では専門のカウント係の人がいる。試合中にコーチと「今、45球」などと話をしていた。実際に硬式ボールは小学生(特に低学年)には明らかに負担が大きいので必然から産まれたルールかもしれない。気になったので、日本の少年リーグの規則をWEBで見てみたが「最大7イニング」などやや曖昧な状況のような設定だった。真夏にやっている高校野球も健康管理面で批判されているが、このあたりは日本でも規制を強化した方がいいように個人的には思う。

次回は、低学年リーグ唯一の日本人かつ新参者だった我々がどうやって参加していたか、というようなソフト面の話をしたい。

追記:軟式ボールは日本独自の規格でガラパゴス的な存在ではあるけれど、小学生やアマチュアなどが比較的安全に楽しめるという点での功績は大きいな、と肌で感じた。(自分は硬式ボールを扱ったのは40歳にして初めてだった)

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