全米で新政権への抗議活動があった土曜日。
朝、多少このニュースを気にしつつも、通常通り毎週の用事のために娘を連れて電車でボストンの都心へ向かおうとしたら、普段は閑散としている週末の駅が抗議活動へ向かう人波でごったがえしていた。
面白いのは、地下鉄が混雑を理由に?乗車ゲートを解放して無料で輸送していること。この地下鉄は資金難で苦労しているはずなのだが、こういうこと(=新政権に抗議するラリー)を収益機会とみなさないのは「懐が深い」社会だと思う。もしかしたら、ただズボラなだけなのかもしれないが。とにかくこういうところが“アメリカらしい。
いつもはここ土曜日はガラガラ |
始発駅で乗車率100%超えなのに、途中の駅からも続々と人が乗ってくる。ただでさえ貧弱な地下鉄のインフラは完全にパンクしていた。
地域特性からだと思うが、人々はごく普通の(しっかりと教育を受けていそうな)白人が中心。そして平均的に若い。女性がやや多い。バーニーサンダース支持のTシャツを着た人やらスペイン語の看板を持った人やらゲイの人やら色々。
多くの人が自作のプラカードを持っていて色々とキャッチコピー的なものが工夫されている。こういうキャッチコピーセンスはアメリカ人の強みだと思って感心する。
個人的にはちょっと渋いところで「MAKE FACT GREAT AGAIN」(単独参加のおじさんが首からぶら下げていた。多分学校の理科教師。)良かった。
あとは、80’s洋楽ファンとしては"Girls just wanna have fun-damental rights”(シンディ・ローパーの有名曲のパロディですね)は思わず二度見してしまった。(これ、割と、定番フレーズらしく何人か見かけた)
日本だと「〇〇反対」「アベ政治を許さない」的な「反対」スローガンが中心な気がするが、こちらの人のメッセージは、何か価値観を訴えているものが多い。もちろん「トランプ反対」的なプラカードも無くはないのだが、比率としては「自分なりの価値観の主張」が多かったように観察した。
こういう民意の表現はとてもアメリカ的で素晴らしい。
こういう民意の表現はとてもアメリカ的で素晴らしい。
しかし、プラカードで、トランプ支持者との連帯を訴えるメッセージがとても少なかったのは気になった。リベラル派が自分たちが正しいと信じる価値観を強く訴えるだけで勝てるなら、前の選挙も勝ててたはずで、反対派(例えばアパラチア山脈の中で仕事がなくて困っているおじさん)の駒を返していくようなメッセージングをしないと分断を深めるだけだとも思う。「トランプを嫌いになっても、トランプ支持派を嫌いにならない」ことが重要かと、外野の日本人として愚考した次第。
せっかくなので用事の帰りに本会場のボストン・コモンを覗いてみたら見たことのないほど大量の人が。
気候もよく、家族連れも多く、雰囲気は穏やかながらも新大統領への怒りだけは明確で気勢が上がる。州の大物政治家やボストン市長も来て演説していた。小さい男の子が「僕のお父さんは今日、ワシントンで行進しています」と書いてあるプラカードを下げてお母さんと歩いていたりした。
子供と一緒だったので、群衆の中心部には突撃せずに撤収した。
帰りの駅ではホームレスのおじさんと普通の乗客がホームで話していた。
普通の乗客「今日、外はすごい人だね。これだけの人が来るのは良いことだ」
ホームレスのおじさん「俺には関係ねぇ。土曜日にこんなことしたって何も変わらねぇ」
という極めて"らしい"会話が聞こえた。
とにかく、大統領就任後の翌日にこの分断度合いというのは米国史上初めてではなかろうか。
この先どう着地するのかまるで予想がつかない。
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