2016年12月9日金曜日

ご当地映画:マンチェスター・バイ・ザ・シー Manchester by the sea


この投稿タイトルの映画が、愛聴しているTBSラジオの町山さんの映画コラムのコーナーにて「ボストン地域ゆかりの映画」として紹介されるのを聴いたので、映画館へ行ってきた。

マンチェスターというと「イギリス?」と思うが、ここニューイングランド地方に実際にManchester by the sea という名前の街があるそうだ。


今住んでいるところダイレクトにそのものではないが、New Englandエリアの風景が出てくるので、映画の世界に浸ることができる。


いつもと違う映画館へ遠征(市内のKendall Square)



あらすじとしては「ボストンで用務員として黙々と働く中年男性(というか、僕と同じ歳の設定だ)が、とある事件をきっかけに、一度は捨てた故郷に帰り人生を見つめ直す・・・」という感じのありがちな感じのものだ。

ただし、町山さんのラジオの紹介書き起こしの記事にあるように、渋い作りの映画になっている。簡単に楽しめる作品ではなく、観た人によって好悪が別れるタイプの作品だとは思うが、個人的にはかなり良かったと感じた。

ストーリー全体からも、一見、無駄と見えるようなシーンからも、監督・脚本の確固とした世界観、人間観が感じられた。たとえば、主人公二人が誰かの家を訪ねた帰りに、「車どこに止めたっけ?」ということで住宅街を下を向きながら歩き回っているだけのシーンがある。やがて車は普通に見つかったが、特にオチはなかった。ストーリーを進める上では全く意味のないシーンだ。しかし、なんとなく「人生には、こういう、意味もなく、オチもないウロウロがよくあるよね」という心象が伝わってくるのだ。

あと、マサチューセッツ州のリアルなワーキングクラスの苦闘を描いていると言える部分もあり、ある意味では「トランプ現象」の下敷きとなった社会を活写していると言えなくもない。誠実な作りのたまものだろう。




今年、僕は、アメリカで英語がわからないままに現地で映画を観ているという特殊な状況にある。その中では、これまで観てきた映画の中で一番素直に「良かった」と言える気すらするほど良かった。ストーリーが比較的シンプルで、セリフに頼る部分の少ない映画なので助かったからそう感じているのかもしれない。(とは言え、現実と回想が行き来してわかりづらい部分もあった)

本作は評判が高く、アカデミー賞に主演男優賞などで食い込んでくるかも、という話もあるらしいが、それも納得の主役ケーシー・アフレックの演技だった。

日本公開日は現段階では未定とのことだが、もししてくれたとすれば、帰国後日本で見られる機会があるかもしれない。(もう一度見ても良いと思っている)

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