2016年5月11日水曜日

自分の英語力で実感する「やがて哀しき外国語」


英語力は、意外にセンシティブな話題な気がするので書きづらい。ただし、英語力そのものが日本の多くのビジネスパーソンにとっての関心事でもあると思うので、そのあたりの参考になれば、との思いから簡単に渡米後1ヶ月くらいの時点での感想を整理しておきたい。

今回の渡米の話は数年前から可能性が出ていたこともあって、3年前から英語の勉強を始めた。「大学受験英語経験あり、留学経験なし、仕事での英語の使用量は極めて低い、という純ジャパ37歳」がスタート地点の僕のスペックだった。英語には「リーディング(R)」「リスニング(L)」「スピーキング(S)」「ライティング(W)」の四つの技能分野がある、ということを明確に理解したのが38歳という始末だった。日本の文科省教育を批判はしたくないが、この時点でこれを知るというのはどうかとは思う。

そのあたりの実力から始めて、TOEIC900超、英検1級、語彙9,000〜10,000前後、ベルリッツでレベル6、までは渡米前の仕事の合間に仕上げることができた。日本だと「高いレベルですね」と言われる水準だとは思う。ただし、主観的には「このスコアでこんな低レベルなのか」という認識だった。典型的な受験英語型ニッポン人のため、実践運用力に特に弱い。

街の中の雰囲気も5月2週目でようやく春らしく。


とにもかくにもこのレベルで人生初の海外生活でアメリカに出てきた。実感としては、相対的にはリスニングに一番苦戦している。テレビやラジオが十分にわからない上に、特に街の人が何を言ってるのかがわかりづらい。映画なんかも字幕がないと困るレベル。実生活で最大困るのは電話。加えて、仕事で来ているわけでもない自分の立場は単なる肩書きのない一市民なので、相手が気を使ってくれるわけではないのも大変だ。でも、この今の立場は甘やかされないので結構良いとは思っている。

現時点で一番弱いと思っている「リスニング」について考えてみると、事前の英語準備の中でこの領域を直近1年間怠っていたのは事実だと思いあたる。そういうツケが如実に出るのだなぁと客観的に関心?する。これから海外ドラマを見まくるなどして強化したい。(余談ながら、今、こちらのドラマでは「ゲーム・オブ・スローンズ」が圧倒的に話題。この間シーズン6が始まったらしくこの記事ばかり。これ日米の関心の差強く感じるところです。)

一方、来る前の一年間に力を入れていた技能領域は「スピーキング」「ライティング」だった。野球のコーチや学校の先生と多少話せるのもこの準備をしていたおかげだ。もしここの訓練をしてきていなかったら、もっと焦ったと思う。(とはいえ、依然として情けないレベルではあるけれど)

ついでに「リーディング」についても言うと、受験英語あがりの人間としては「これはそこそこ出来る」として語彙増強以外は放置してきた。その結果、文章を読む力も不足気味だ。こちらで「新聞読み」「本読み」などで「読む」基礎量を上げるようにしている。語彙はすでにかなりやったつもりだったが、あくまで私的感覚ながら、語彙9,000〜10,000くらいだと知的文章を軽く読むのにはまだ不足感がある。こちらでもう少し力を入れて確実な10,000overへ持って行って、現地新聞レベルは軽く読めるようになりたい。(ちなみに自分の語彙数はこちらなどで大体確認できます)

ハーバードのあたり


これまで、「英語は筋トレに近い」という表現を何度か聞いてきたが、本当にそうだと思う。意識して正しく負荷をかけて鍛え続ければ、その筋肉は伸びるし、そうでなければ伸びない。なんというか、英語力の伸長というのは、"殺伐"とした「身も蓋もない」世界だ。

「駐在するだけでは英語力は上がらない」という表現も良く聞く。実際こちらで暮らしてみてこれも真実だと思う。実際、英語を一言も話さなくても生きられる日もある。結局、こちらでも、筋トレのように室内での修行をすることにした。ESL向け(外国人向け)の英語講座にも徐々に行き始めているが、やはり「"一人"筋トレ」無くしては力はつかないと思う。個人的に設定したTOEFLの目標スコアを未達成で残しているので、まずはそこを目指して地味な訓練を続ける。

英語力関連で他によく聞くフレーズとしては「努力していると、ある日突然ジャンプアップする」(専門的に言うと学習のプラトー曲線)というものがあるが、こればかりは残念ながら全く実感なく「いつまでたってもパッとしないなぁ」という感覚しかない。そう感じているだけに、いろいろ言われるが、ショーンKは熊本から出てきてあそこまで話せるようになったのだから、偉いと思う。

英語に関しては、ボヤキばかりになる。「もっと若い時から真面目にやってりゃなぁ・・・」とだけは本当に思う。とはいえ、高校時代からペーパーバックを英語原書で読み通せて、翻訳家としても成功しているほどの村上春樹先生ですら、アメリカ滞在記(プリンストン時代)を「やがて哀しき外国語」というタイトルにして出版しているくらいなので、「語学は大変だ」ということだろう。運や人間関係に左右されるリアルビジネスに比べればラクだ、と思って粛々とやるしかない。

最近、立派な自転車を譲り受けたのでこれで走ってます@メドフォードスクエア



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