まずはじめに、自分としては、アメリカ国民の皆さんが民主的に出した結果を尊重する、という当たり前のことを明記しておきたい。
開票の結果、ケンブリッジ市ではヒラリーへ投票した人が89.2%だった。この数字は民主党が強いマサチューセッツでも、アメリカ全体でもおそらくトップクラスだろう。
人種構成的にマイノリティが少なめなこのエリアで、この得票率なのだから、とても独特な場所だと改めて思う。
実際に接してみると、ケンブリッジの中心、ハーバード大学の大部分は(ビジネススクールを除く)、日本でイメージしていたよりも、かなりリベラルだ。聞くところ、ヒラリー支援のために比較的近い激選区のニューハンプシャーあたりで活動していた学生も少なくないらしい。MITも(前にもここで紹介したように)多様性への配慮が驚くほど行きとどいた校風だ。
開票を見るハーバードスクエアの飲み屋の皆さん(まあ、エリート層です)。開票前半だったので皆、ニュース無視でドンチャン騒ぎ。今思えば、ヒラリー勝利を確信し過ぎだった。そんな現実。 |
ところで、子供(小学三年生)の通う学校には、同じクラスに中南米からの移民の同級生がいる。この子はうちの長男にも良くしてくれるフレンドリーでいい奴だ。この子の英語の作文を読む機会があったのだけれど、少したどたどしい英語でこんなことを書いていた。
"幼稚園の時にアメリカにきた。この国はいいところだ。もう母国には帰らない。Obamaという弟がいる"
詳しいことは分からないが、移民をしたことで、家族が当時の大統領の名前を与えたのだと思う。
この市の公立小学校の先生たちは外国から来たこういう子たちに丁寧に「英語」「アメリカ」「多様性」を教えてくれる。先生たちが何がしかのプライドを持って「インクルージョン」の実現に当たっていることを感じる。
僕が経験する範囲では、ここはこういう街であり、そこに敬意を抱いてきた。
トランプ勝利は、このエリアにかなり大きな衝撃をもたらしているように見える。90%の投票者の意に沿わぬ結果だったのだから当然の反応だ。さらに、僕が言うことではないけれど「大学エリートへの反感を見せつけられた」という面があるから余計に深刻だ。非常に乱暴に言うと「街自体へのダメ出し」的なところがある。(あくまで今回の最終結果は、ということであって、総得票数や中長期的なダイナミズムを考えれば違うのだけど、直後の衝撃段階ではそう感じるのが正直なところだ)
トランプ勝利の翌朝、地下鉄に乗った。
僕の気のせいだろうか、妙に静かで皆がスマホとにらめっこしていた。会話がなく、息苦しいような空気感が漂っていた。街の中でも、選挙の話題を明るくオープンに語る光景は見かけなかった。基本フレンドリーなアメリカ人としては意外なことに?"それは触れちゃいけない話・・・"的なものを感じた。
僕の気のせいだろうか、妙に静かで皆がスマホとにらめっこしていた。会話がなく、息苦しいような空気感が漂っていた。街の中でも、選挙の話題を明るくオープンに語る光景は見かけなかった。基本フレンドリーなアメリカ人としては意外なことに?"それは触れちゃいけない話・・・"的なものを感じた。
選挙の翌朝。たまたま天気も悪かったし、妙な陰鬱が地下鉄の車内を包む。 |
夜は、ボストンコモンで学生の抗議活動があったらしい。一方で、初めて"Make America Great Again"の帽子をかぶった若い学生を駅で見かけた。
大きな話題なので次回もこのテーマの記事を続ける予定。
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