2016年9月14日水曜日

映画 "KUBO and the Two Strings" 制作チームの心意気に応えたい


こちらでテレビを見ていた時か何かにCMを見て「何これ、日本ぽい映画じゃん!」と偶然知った "Kubo and the Two Strings"という8月全米公開の映画。

見た人たちの間での評判がとても良いというWEB記事が多かったこともあり、映画館へ行ってきた。基本的には、子供が楽しめるアクション映画なので、ストーリーは比較的簡単。字幕なしでも結構分かるのが助かる。




話としては、完全に日本(中世)を舞台にしており、アメリカの製作チームが作っているにも関わらず、変な違和感を感じるところがほとんどない。「よく研究して作ってくれているなぁ」と素直に感心した。話の背景に「お盆」があるのだけれど、よく分かってくれている。強いて言うと、ここまで日本を研究しているのに、主人公の名前がなんでKuboなのか(この呼称にはあまりストーリー上に意味が感じられない)なぁというくらい。最初「三味線なのにTwo Stringsとは、やっぱりアメリカ人は分かってねぇな」と思ったのだが、映画を見るとそこには意味が込められており、この造り手はそういうレベルのミスをするような人達ではないのだと感服した。

ストーリーもさることながら、ビジュアルがとても美しい作品。ぜひ日本でも公開して大画面で上映してほしいのだが、現時点では日本での公開は決まっていないらしい。ビジネス面での事情(興行収入が見込めるかという問題)だろう。詳細はこの記事あたりを参照。声優でマシュー・マコノヒーとシャーリーズ・セロンを起用しているくらいだから、そもそもは決してニッチなマニア狙いの作品ではないはずなのだが、最近、大作であっても日本では公開されない例も珍しくないので心配だ。主人公の名前ごと変えるとかして、マーケティングを頑張ってください。

というか、2016年現在、映画ビジネスの立場で考えれば、異国を題材にするならお財布の圧倒的に大きい「中国」を使うのがリアリズムとしては正しい。(実際に最近はこの風潮は顕著だ)そんな中「敢えて」日本を題材にしてくれたクリエイター達の心意気に日本市場が応えてあげてほしいなぁ、と思う。

市内のショッピングセンターの看板より


ちなみに、マシュー・マコノヒー(最近、売れまくりですね)が演じている作品内のキャラクターはなんとなく本人の雰囲気あり。そして、シャーリーズ・セロンのキャラクターは、声といい今回の作品内での役割付けといい「マッド・マックス 怒りのデスロード」のフュリオサに感じられて仕方なかった。

ところで、秋になり映画界のシーズンが本格化してきた。近所の映画館に並ぶ今後の公開作宣伝ポスターを見るだけでも焦ってくるくらい、興味を引かれる作品がこれから次々に登場してくる。滞米前半は意図的に映画活動を抑え気味にしてきたが、これからはどんどん見ていきたい。とりあえず、マーチン・スコセッシ監督の「沈黙」(遠藤周作)が最大の楽しみ。


追記:本作のエンディングに流れるビートルズの「While my guiter gentlly weeps」の三味線バージョンがアレンジが素晴らしい上に、歌詞と内容のシンクロもあり最高過ぎる。これはアカデミー賞を狙えるるレベルと感じる。 


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