2016年5月16日月曜日

ボストンインディペンデント映画祭でProgressiveなこの街を垣間見る(上)


ケンブリッジ市のあるマサチューセッツ州は、アメリカの中でも独特なところだと思う。歴史的な経緯として、黒人奴隷の廃止運動を先導したのはこの州だ。こちらに来る前は"ぼんやり"と「リベラルな街」というくらいの認識だったが、リベラルという言葉と同時に、Progressive(進歩的)という形容詞も妥当かもしれない。

最近は日本でもLGBTの権利等が大分注目されるようになっているが、昔も今もそうしたムーブメントの世界的発信源がこの地域だと思うし、(前のエントリーのMITの中で紹介したように)街を歩いていてもそうした雰囲気を感じることが少なくない。

さて、こちらに来てからは、(Web契約だと意外に安いことに気がついたこともあり)なるべくThe Boston Globeを読むように心掛けている。日経新聞も読まないといけないんだろうな、とは思うのだけれど、日経は15年以上そこそこ真面目に読んできたからしばし休んでもバチは当たらないだろうと思いたい。そんな中、 このThe Boston Globeのとある記事をきっかけに、ボストンで行なわれる映画祭とその中の一つの映画に興味を持った。映画祭は、ボストンインディペンデントフィルムフェスティバル(IFFBoston)というドキュメンタリーを中心とした硬派なものだ。

映画は、"The Guys Next Door"というタイトルで、同性婚をしたゲイのカップルのため、友人の女性が代理母として二人の子供を産んだという話を取り上げたドキュメントフィルムだ。これだけでも結構な異例な話だとは思うが、この女性は普通に家庭を持っていて、普段は夫と実子3人と暮らしており、そのまま代理出産を2回も引き受けているという。この女性はマサチューセッツのニュートン在住(Boston圏内でケンブリッジも近い)であり、監督はここケンブリッジ在住の人、ということでこの映画が地元紙に取り上げられていたのだ。うちの近くのシアターで、制作者トークショー付きの上映会がある、ということが記事に書いてあったので、見に行ってみることにした。

偶然?にも上映会場はうちから自転車で10分程度の名門シアター。ここのシアターについては別途書きたい。


ちなみに今、アメリカでは、トランプ現象とは別に、保守的な州での「LGBTを拒否する自由を保障する法律」が大きなニュースになっている。キリスト教国アメリカにおいて、セクシュアリティの問題は国論を分けてしまうくらいの問題だ。こんな題材の映画は保守色の強い南部だと、危なすぎて上映できないのではないか、などと想像してしまう。このような映画を製作し、上映すること自体がとてもマサチューセッツ州的と言えるのではないだろうか。(この辺りの事情にはまだ詳しくはないので、認識が間違っていたらすみません)

果たしてどんな会場の雰囲気での上映会になるのか、映画の内容よりも、むしろそちらの方を気にしつつ上映会場へ自転車で向かった。(続く)

この映画祭とは別ですが、こういうイベントが普通に行われてる街です。


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