こちらでの住居となるアパートメントには、冷蔵庫やレンジはあったけれど、家具は何もない。ダンボールをテーブルにして食事をする数日が続いた。
4人用のダイニングテーブルを知人づてに確保(個人間取引)できていたのは良かったのだが、こちらの家まで運んでくるにはトラックを自前で用意する必要があるとのこと。そもそもうちには車が無いし、どうしたものか少し困っていた。妻の知り合いの米国人の先生から「手伝うよ」という申し出を頂いたのだが、それも申し訳なく思案していたところ、この先生がタスクラビット(TaskRabbit)というWebサービスを紹介してくれた。少しサイトを見ただけで、これはいわゆる「クラウドソーシング」の仕組みだな、とすぐに理解できた。なかば「一か八か」の気持ちで登録して検索してみたところ、Andrewという個人が翌日に作業を引き受けてくれることが1時間以内に決定。時給は70ドル前後と明記されていた。何割くらいが彼の手元にわたるのだろうか、とすぐに考えてしまうのは僕の職業病だろう。
Andrew氏とのコミュニケーションはEメールで円滑に進み、当日予定通りの時間にトヨタのピックアップトラックで家まで迎えに来てくれた。助手席に乗り込ませてもらい、道すがら話をしたところによると、彼は本業は大工で、土日など空いた時間にこのタスクラビットで仕事をしている、大家族に呼び寄せてもらってウガンダから5年前に来た、二週間前に子供が生まれて夜泣きが酷い、とのこと。仕事中、寒い、寒い、と言っていたが、アフリカから来たならそうだろう。でもこれからこの国でチャンスをめざして頑張ろうとする勢いみたいなものを感じた。言うまでもなくこういう人々がアメリカの活力の源の一つだろう。僕からは「知り合いがウガンダで日本食レストランやってるよ」と伝えておいた。彼はウガンダにはチャンスがたくさんある、と頷いていた。気持ち良く作業してくれて1時間でタスクは無事終了。精算はアプリ経由でタスク終了後に行われた。4日前に当地に来た日本人がスポットでこのようなサービスを利用できて決済の心配もないのだから、ITは世の中を確実に便利にしている。
ピックアップの荷台を紐で縛る術は確かだった。 |
彼とのコミュニケーションで一つ印象に残ったのは、彼からのメールに"Thank you for hiring me !"とあったこと。僕は彼をhire(雇う)したのではなく、単発でちょっと仕事を頼んだ(業務委託)という感覚だった。しかも間にタスクラビットを挟んでいたので、hireという単語を見た時には、ちょっとハッとするところがあった。日本で人事関連の仕事をしていると「雇う」という言葉を結構重く考えてしまう。もしかすると、こちらの感覚ではたとえ1時間の仕事でもhireという感覚があり、その感覚は1年や数年といった会社の雇用と途切れなくリニアに続いているのかもしれない。考えすぎかもしれないが、そんなことを思った。
気になったので後で調べてみた。あるサイトによるとTaskRabbitの運営側の取り分は個別ディールの料金の20%らしい。こういうのを一手間かけて調べてしまうのも職業病。
気になったので後で調べてみた。あるサイトによるとTaskRabbitの運営側の取り分は個別ディールの料金の20%らしい。こういうのを一手間かけて調べてしまうのも職業病。
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