2017年3月27日月曜日

未来志向



組織人事コンサルタントとして、日本とアメリカの両方の小学校を中から見ることができたのはとても幸運だった。

色々な違いを認識した。

集団主義 vs 個人主義 等々色々あるが、重要なことは結局何だったのかな・・と思った時に、この地域の学校教育の特徴の一つは「未来志向」である、ことに思い当たった。

ここ、ボストン(ケンブリッジ)は幾つかの特徴がある。「歴史的にアメリカの先頭を切ってきたという自負がある街」「テクノロジー(MIT、ハイテクベンチャー)の街」「経済的に余裕のある街」「学生が多く、年齢層が若い街」などだ。だからこその特殊状況とは思うが、ここの人たちはとても「未来志向」だ。

(注:大統領選結果から分かるようにこれはアメリカ全体での傾向ではない。もっというと、当地は世界的にも異常値なほどの未来志向だと思われる。ここか、NYかカリフォルニアか、くらいの感じだろう。)

子供に対して「夢を持て」と奨励し、それを語らせる。学校の掲示板でよく「夢」を書いている掲示を見た。自分個人の夢、社会としての夢、コミュニティとしての夢、を分けて描かせていたのも感心した。

同時に、大人も「(これまでの過去とは違う)どういう社会を作りたいのか」「自分たちがどうそれを作って行くのか」という未来志向を持つ人が多かった。一例を挙げれば、"差別のない社会"は、昔には当然なかったことだが、将来はそれを実現するんだ、と言うようなことを真面目に考えている人が多い。(この辺の人達は本当に真面目だな、と、特に小学校を見に行った時に感じることが多かった。)

更にMITなどでは「こうした変化はテクノロジーを絡めて実現していけばいいんだ!それをリードするのが自分たちの役割だ!」という気概を感じることができた。(一歩間違えば「上から目線」との批判も受けるだろう)

バンカーヒルの古戦場。ボストン人には「そもそもイギリスと戦いだしたのは俺たちだ」という何かがある。薩長のプライドみたいな感じ?


対する日本の教育に未来志向が無い、とは決めつけたくはない。日本の小学校でも将来への夢を語らせることはあるだろう。ただ、「自分が将来こうなりたい」と言う以上のものを語らせているだろうか。

そして、特に道徳教育関係の話題を聞くに「ちょっと違くないか?」と思うことが多い。「懐古」色が強く、未来を構想していない気がするのだ。

実際、先週、子供の区立小入学準備で読んだ、東京都の外郭団体が作る道徳資料に「先人や目上の人を敬う心を育てよう」とあったのには、脱力してしまった。

これが東アジア儒教文化の大事なところであるのはわかるのだけれど、これだけ物理的に年寄りの比率の多い日本で、今更子供に敢えて言うことではないと思う。一万歩譲って、そう指導するなら「若い人に元気がない」などとは言ってはいけない。個人的に日本の伝統や文化は大好きだが、それと「おじさんが気持ちいい社会」への回帰は違う。

自分は若い人には「先人や目上の人を敬いましょう。誰を敬うかは自分で考えて決めろ」と伝えたい。


自らもおじさんに差し掛かった自分が、そんなことを考えたのも、ここでの生活のお陰かもしれない。

半年通ったボストンバレエスクールの「お約束」。Show Respectは多分、to each otherだと思う。

0 件のコメント:

コメントを投稿