2017年3月10日金曜日

トランプ現象の「現地現物」は?


渡米してきた一年前は「オバマのアメリカ」だったのが、すっかり「トランプのアメリカ」という感じになってしまった。

幸か不幸か実際にはここボストンで具体的に何かが変わったということは感じないので、あくまで「イメージ」の問題ではあるのだが「イメージ」は大きい。

日本のテレビを見ていないので想像に過ぎないのだが、おそらく「トランプ大統領」を「変なおじさん」扱いして面白おかしく扱っているのだろうと推測する。

「それが面白いことは否定しないが、それだけでもまずい」と個人的には思う。また、トランプ本人を理解することよりも「なぜトランプが当選したのか」ということを現実に基づいて理解することが重要かと思う。多分仕事柄そんな風に思うのだろう。

その点で、大変勉強になった情報源を二つ紹介したい。

バンパーのステッカーに注目。おそらく所有者は白人さんでしょう。ちなみにその上の青いステッカーも笑える内容。

一つは朝日新聞の現地記者の方が足で稼いだ情報をまとめた岩波新書『ルポ トランプ王国 もう一つのアメリカを行く』。ミドルクラス、特に製造業の崩壊が如何に庶民を追い詰めているかがとてもリアル。党派色やあるべき論にとらわれず、ミクロな現実がしっかり記載されている。最後に進むにつれ、日本の将来を考えさせられる。日本企業で重要な判断をするような人には読んでもらうといいのではないかと思った。

もう一つは、シリコンバレーの若手起業家、サム・アルトマン氏のブログ記事:『シリコンバレー在住のリベラルな僕がトランプ大統領支持者100人と話して理解した「アメリカのリアル』。この人はもともと真面目な人なのだが、わざわざこういう活動(仕事と関係ないのに、トランプ支持者100人と直接話す)を自分でやってみる、という若者の構想力とスケール感に「カリフォルニアのアントレプレナーの本当の上澄みはレベルが違うなぁ(注)」と思った。ちなみに、Facebookのザッカーバーグ氏も選挙以降、アメリカの全地域を直接回って現業の人々との対話をしているようだ。

余談ながら、本当は、リベラル側がこういうことをやらないとダメなのだと思う。"あいつら頭おかしい"と説教したり、"なんでも反対社会党”路線を続けたら分断が深まるばかりだ。

帰国も近くなってきて、上記などを読みながら、日本のことを考えることが増えてきた。


(注)日本のビジネス界にはそもそも「三現主義」・「現場100回」といった良い言葉がある。こういう姿勢がフェイクニュースの時代にますます重要かもしれない。 

うちの前の道路に先日唐突にあった旗。言いたいことはなんとなく分かる。それにしても「文脈依存型」の訴えだ。

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