2016年10月19日水曜日

こちらにおけるエグゼクティブエデュケーション(社会人教育)の世界の一端


あまりこのブログでは「自分の専門分野のお勉強」の事を書いてこなかったけれど、それなりにそちらの方もしている。致し方ないことではあるけれど、このブログだけからだと、家事と野球とアメリカ見物ばかりしているように思われるかもしれず、それは正しいような正しくないような微妙なところだが、まあブログなんてそういうものだと思うのでそれはさておき。

MIT(マサチューセッツ工科大学)が割と活発に社会人向けのショートコースを提供しているので、すでに幾つか通っている。内容面は本業で活用するつもりなのでここで書くことはしないが、いろいろな面で気づきがある。今回は大学院レベルの「社会人短期教育」がある種のツーリズムビジネスの側面も持っている、ということなどを紹介したい。

2〜3日間くらいの短期講座に合わせて世界各地からケンブリッジ(ボストン)に滞在し、勉強+観光をして帰る、ということをしているビジネスパーソンが結構いるのだ。もちろん、基本的には「勉強」が主だと思うが、それに付随してボストンやケンブリッジの街も楽める、という感じだ。大学は講座のみを提供し、ホテルその他の手配は参加者が自由にアレンジしている。(ハーバードのエグゼクティブエデュケーションは自前の瀟洒(しょうしゃ)な宿泊施設を持っており、宿泊込みでの講座を提供しているが、これはまた別の話)

これは人気の講座でキャンセル待ちだった


自分が参加したクラスの経験でも、文字どおり「世界中」から参加者が来ている。アメリカ人が半分強くらいを占め、残りの4割くらいが外国からの参加者という感じだ。これはボストン(ケンブリッジ)という土地に特徴的なことだろう。属性でいうと、日本ではあまりお会いできない北欧や南米系が多いのも印象的だ。アジアも居るが、少な目だ。(なので、ダイバーシティを確保したがるアメリカの学校運営にとっては「日本人」というだけで実は割と重宝される気がする。そこで「なんだ、こいつ全然英語話せないな」という風に失望させないことが大事かな、と)

クラスで一緒になった人を何人か具体的に挙げてみる。

  • 1:ドイツのメーカーからシカゴ現法に派遣されているドイツ人の現法責任者。シカゴから家族で来ていて、日中、自分は勉強、家族はボストンを観光(なので飲み会はゴメンなさい、と先に帰った)
  • 2:中国の上海から会社(自動車関連の米国企業)派遣で勉強に来ている中国人(いわゆる、ご褒美研修)
  • 3:アメリカのルイジアナの材木メーカーの社長夫婦(ボストン観光も楽しみにしてた)
  • 4:インドのバンガロールで人材育成会社を立ち上げた社長(正直、コンテンツの仕入れ、というか先端事例視察に来ている)
  • 5:オーストリアからの「毎年ケンブリッジに来て何週間か滞在して、いろいろ回って勉強してるんだよ」というNPOの人。
  • 6:米政府・米軍関係の人もちらほら。

等々実に色々な人がいる。意外に「社長」系が多い。これは後述する費用の影響もあるのだろう。会社からの「ご褒美研修」できている人もいれば、海外から「私費」できている人も普通にいる。そして、日本人は今の所この種の講座ではお目にかからない。(MITスローンのビジネススクールの方には多数いらっしゃいます)

費用について言うと、学費が1日あたり15万円強(講座次第でもっと)程度。これに交通費+滞在費を足すと、海外からこのためにここに来ると総額100万円くらいはかかると思うのだが、それで「"勉強兼観光"をしても良い」というビジネスパーソンの世界があるということを今回知った。(最近、報酬管理の世界では、日本のエグゼクティブが世界基準では給料が低い、という話もよく聞くが、その辺ともリンクした話かと思う)そして彼/彼女らは、「MITで勉強してきました」ということを多少はキャリア上のスプリングボードにできるのだろう。

設備は当然一流です


上記の背景から、クラスの方は内容面でそれほどの負荷をかけるようなものではなく、運営にはしっかりと「おもてなし」モードがある。とはいえ、留学生向けではないため普通の英語の世界で授業と討議が行われる。ただし、先に述べたように英語が第一言語ではない参加者も割と多いので、小学校のPTAのママ会よりは少しだけラク、と言った感じはある。これは容赦のない英語の世界なのだ。自分はといえば、自分の専門分野での教員の話を聞くのと、人と一対一で話をするのはなんとかなってきたが、ワーッと議論になった時に発言できない(瞬発力がない)のが課題。

さて、将来、日本人ビジネスパーソンがこういった講座にもっと参加する流れが増えるだろうか。費用と英語の問題があるが、興味深い点だ。

立食パーティーもついてます

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