TOEFLという留学生(non-native)向けの英語の検定テストがある。ふつうだと、このテストで一定の点を取らないと留学できない、という関門になるテストなのだが、自分の場合は幸運にもこのスコア無しに家族のビザでアメリカに来ることができた。しかしながら「せっかくだから、このテストで一定の点を残してみたい」という気持ちがあり、渡米前に日本で一度だけ試しに受験してから、こちらへやってきた。(日本での試験結果は爆死に近いものだった。 TOEICが小学生向けに思えるくらいに難しい。しかも、年々難しくなっているという恐怖のテスト。こんなことだったら20代のPBTの頃にやっておけば良かったと後悔。)
当然ながら、TOEFLはアメリカでも受験できる。ボストンのダウンタウンにある会場で初の受験を先日してみた。まず、申し込みの段階で気がついたのは、日本で申し込むよりもやや受験料が安い。今、アメリカだと190ドルだ。それでも十分高いと思うが、日本だと一回230ドルと鬼のような値段。為替次第でやや変わるが、下手をすると2万5千円かけて自尊心を砕かれる、というなかなかマゾヒスティックなテストである。
Old South Church |
当日の会場への到着は問題なかった。しかし、受験前から日本と違うところが見えて色々と面白い。
まず、集まってきてるのは中国人中心のアジア系とアラブ系の若者多数。第二外国語のテストだから当たり前といえば当たり前だが、独特の雰囲気がある。そして、軽く衝撃的なことに待ち時間に友達同士で英語でペラペラと話している。スピーキングに難を抱える日本人(僕)としては「君ら、そんだけ話せれば、TOEFL受ける必要ないじゃん!」と思わざるを得ず。気持ちが萎える。
受験開始の手続き的には基本的には日本と同じだったが、日本に比べて少しゆるい感はあった。日本だと入室前に金属探知機でチェックされたものだが今回はそれはなかった。
定刻にやや遅れで、試験が始まったが、会場がクーラー効きすぎで異常に寒い。他の受験生がクレームしていたが、ビルの都合で変えられない、ということで結局集中力を散らす要因になっただけ。さらにリーディングの試験中に、中国人のスマホの着信音(中国語の歌だったのでこう断定している)が鳴り響く、というコントのようなこともあった。まあ、そういうノイズも含めての試験だから神経質に怒ったりはしない。
それにしても相変わらず難しい試験だ。特に今回は前半に調子が出ず(途中でやめて帰ろうかと思ったくらいに、まずかった。)ボロボロになって休憩時間を迎えた。するとトイレの前で、隣の席で受験していた男(金髪の白人)が話しかけてきた。(これ自体が、日本だとまず考えられない事象ではある。日本では張り詰めた空気の中では、他人を乱さないことが普通だと思う。)
男「君、このテスト受けるの初めて?」
僕「いや二回目だけど…」
男「僕は初めて。 アメリカ人にとっても面倒くさい試験だね。疲れた~」
僕「え、アメリカ人なのにどうして受けてるの?」
男「友達のナイジェアリア人がこの試験のスコアが必要で。自分も受けてみないと指導ができないからさ」
休憩後はスピーキングのセクションだというのに隣の席がネイティブのアメリカ人…というショックと、2万円もする受験料のテストなのにナイジェリア人とアメリカ人の間でこういうディールが成立している、というショックで余計に疲れた。日本がデフレってる間に世界の富豪はどんどんやってる、という一例かもしれない。
Boston Common にて |
ちなみに、このテスト、世界共通で同じ条件で英語力を測定してくれる。日本人の平均スコアが低いと話題になることが多い。「グローバル」というなら、内弁慶的なTOEICではなくてこちらの方を受験して世界の人とスコアを競うことが本筋だと思う。日本でも10年後くらいの英語教育(入試)このスタイルが標準になることがほぼ決まっているそうなので、自分自身で体験しておく、という意味でも中年の身に鞭を打ち、恥をしのんでこの試験を受けるのは良いことだと思っている。
僕のスコアは・・・まだ発展途上ということで、ご勘弁いただきたい。
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