夏の週末。ボストンから北へ、郊外行きの長距離列車でローウェル(Lowell)へ向かった。
列車には、比較的近所のウェストメドフォードという駅から乗ったのだが、時刻表を見ると「誰かがホームに待ってるのが見えたら駅に止まる」と書いてある。(路面電車でなもないのに)長距離列車でそれはないだろう!と、若干緊張したものの無事に乗ることができた。
列車には、比較的近所のウェストメドフォードという駅から乗ったのだが、時刻表を見ると「誰かがホームに待ってるのが見えたら駅に止まる」と書いてある。(路面電車でなもないのに)長距離列車でそれはないだろう!と、若干緊張したものの無事に乗ることができた。
無人駅かと思ったら、一人だけ係の人が居た |
ローウェルの街。古いけど明らかに最近観光向けにリノベされた感あり。 |
ローウェルは、19世紀に発展のピークを迎えたアメリカの第一次産業革命の街で、昔、経営史を多少勉強したことのある僕としては大変興味深い場所だった。今は、国立公園に指定され産業遺産の展示がメインになっている。ビジターセンターの15分のビデオがコンパクトに理解を得るためにとても便利だった。全体に少し美化されていたきらいもあるが、これを到着してすぐに見ておいて良かった。(英語字幕あり)
このビデオによると、企業家が、その昔イギリスから紡績機を導入し(ぼかした説明だったが、どうやらパクり的な行為をしていた模様。イギリスに工場見学に行った時に、機械をスケッチしてきたとか。いつの時代も後発者のキャッチアップは模倣から始まる)この地域の豊富な水力をを生かした水力発電により、工業化(繊維産業)を成し遂げたという。この街はかつてはマサチューセッツ第二の都市だったこともあるそうだが、時代の変化により早々に没落してしまった。蒸気機関の確立により水力頼みだったことが仇となった、との説明だった。繊維産業はその後綿花原産のアメリカ南部に移り、安い労働力を求めて世界を転々とし、今ではバングラに至る。その出発点がここだ、と位置づけられていた。
最初は近隣の農村から女性を集めて働かせていたとのこと。(いわゆる女工哀史のアメリカ版だろう。全体的に「これ日本だと富岡製糸工場だよね」と思いながら見た。)その女性が待遇改善を求めて史上初の女性によるストライキを決行したのもこの場所だという。そういう意味では、僕の専門でもある労務管理の歴史的にもちょっと重要な場所と言えるかもしれない。
昔の工場が博物館になっている |
その後、歴史の推移とともに世界各国から来た移民が工場労働を担っていったという。「移民が産業を支える、これこそアメリカ」ということを誇る掲示もあり、修学旅行生などがこれを勉強しているのだろう。
エリア一帯は国立歴史公園として歩いて回ることができる。なんとなく「小樽」「金沢」「川越」が思い出された。日本人にとってはこの風情は馴染みがあるが、アメリカでは「歩いて巡ることができる」というのはかなり珍しい趣向らしい。
運河が名物 |
さて、ローウェルにやってきたことには、実はもう一つの理由がある。それは、この街にマイナーリーグベースボールのシングルA スピナーズ(注「Spin=糸まき」)があるから、、、ということで次回はスピナーズの試合編。
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