小学校で「Executive Functioning」
子どもが通っている小学校には月に1回、金曜日の朝8時30分から9時30分、コーヒートークという保護者向けイベントがある。
日本語で言えば文字通り「茶話会」であり、学校内外の専門家が、何らかのトピックについて話をする会だ。12月のテーマは「子どもの"Executive functioning"を育てるには?」というものだった。
この日は前日から北極から寒波がボストンに流れ込んできたとかで、朝の気温が-16度だった。にも関わらず、会場の図書室は盛況で、50人近くの保護者が集まっていた。うち父親は2割から3割。こういうところだけでも、この辺(へん)の親の「意識の高さ」が感じられる。
講師は、学校付きのソーシャルワーカーの先生。アメリカではソーシャルワーカーの地位が高いとは知っていたが、実際にこの職業の人の話を聞くのは初めてなので嬉しい。
いつも通り、コーヒーや軽食があり、講師がMacbookAirを使ってスライドを投影しながら1時間程度の話をした。途中、フロアからの質問も結構出る。
そもそも、Executive functionという概念にそのものズバリ当てはまる日本語がないように思うが、「将来や状況を見通した上で、自分を統制して実行をしていく能力」というような概念で、Knowledge Wokerに必要なスキルそのものである。子供であれば「この先に何があるかを踏まえて、自分のことを自分でやる」的な能力を指すらしい。これを日常生活の中で、どうやって子供に育んでいくか、というのがテーマだった。基本はお手伝いや部屋の片付けから、ということになる。
若干導入部分の話を紹介すると、子供を成功に導くには、学力だけでなく、以下のSuccess Factorが重要だということだ。
- 時間管理
- 自己有能感
- モチベーション
- マインドセット(Growth mind setが大事。Fixed mind set はNG)
- 効果的な努力
- エグゼクティブファンクション(今日の本題)
の六つが必要だと言う話があった。これで思い出したのは、専門家の言うところの「非認知能力」という概念だ。こう言う専門的な知見に基づく話が普通にされていることに驚く。(ここは公立ながらも例外的なのではないかと思っている)
話が終わってから、隣の席のお母さん(カナダ人)に「こういう能力は大人の職場でも重要ですよね。でも、日本にはExecutive Functionにぴったり来る日本語の言葉がないんですよね・・・」と話しかけたら、「概念を持つことは重要よ。20年前には私の国でもADHDとかADDとか、知られてなかったけど、こういうのを知れば問題に対処できるじゃない。アメリカはそういう点では進んでると思うわ。それに今日習った内容は私がMBAの組織行動論で聞いた内容と似てたわ」とあっさりと言われた。何とも、おそろしく意識の高い事である。
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