とても驚いたのは、「公共の屋外での飲酒が禁止」ということである。しかも、かなり厳格に運用されている。
マサチューセッツ州の夏は湿度が低くとても気持ちが良い。日本のお花見どころの比ではなく、野外でビールを飲むには理想的な環境なのだけれど「禁止」である。よくよく観察していると、公園の中や少年野球を見ている親などでこっそりビールを飲んでいる人がいるが、彼らも紙袋に隠して警官に警戒しながら、かなり慎重に飲んでいる。僕のような中途半端な立場の人間に違法行為が見つかったら厄介なことになるので、リスクを冒して飲む気にはなれない。
フード屋台がたくさん出るお祭りであっても、野外のジャズフェスであっても、夜中まで躍り狂う路上ダンスパーティーであっても、アルコールを飲める場所は一箇所に決められており、柵の中で隔離されてビールを飲まなくてはいけない。最近の日本での喫煙者の扱いに似ている。(気持ちがわかりました)
ビアガーデンといえば聞こえは良いものの、それ以外の場所では飲酒禁止なので。。 |
レストランの野外テラス席や、フェンウェイパークなどの野球場は、「飲める」のだけれど、これは「室内の延長」というロジックで飲酒が許可されているとのことだ。
販売の方も厳しい。フェンウェイパークでも映画館でも毎回パスポート(Valid ID)を見せないとアルコールを売ってくれない。さらに、年に何回かは小売店でのアルコール販売が禁じられている日がある。(祝日、パトリオットデー、とか。)それから、店によっては免許の関係で日曜日の午前中だけアルコール販売禁止、の日もある。この辺の厳しさはこの州独特らしい。
これだけ厳しいので、日本の外食産業で一昨年あたりから台頭してきた「ちょい飲み」もこちらでは考えづらい。メキシカンのファーストフードなど、日本だったらビール置くよね、という店でもアルコールは無い。寂しい。
ある時、タクシーの運転手さんに「マサチューセッツはアルコールに厳しいよね、、」と話しかけたら、「俺の子供の頃はここまで厳しくなかったんだよ、若い頃はみんなで車でビール飲みながらスキー場まで行ったもんだ。でも色々、事故があったりして厳しくなってね・・」と話してくれた。色々なことに当てはまるが、歴史は動いており「今の姿が昔からそのままあった」ということではないらしい。
爽やかな公園で野外シェークスピア劇(ながらも当然アルコールは無し) |
とはいえ、家族の安全という方向から考えると「街のなかに酔っぱらいが全くいない」社会というのはそれはそれで良いものでもある。思い返せば、東京のうちの最寄りのJRの駅前には毎日、夕方から夜にかけて缶チュウハイ飲みながら叫んでるおじさんがいた。そういうことは、この辺では有り得ない。夜の電車が酒臭い、ということもない。そういう意味では、禁止令のメリットも感じる。
でも、やっぱり、爽やかなこちらの公園でのびのびとビールが飲みたい…。
障害を乗り越え、球場で初の野外ビールを一杯。 |
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